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配達の人に対する感謝の意、「お疲れ様」か「ご苦労様」か「ありがとう」か、それとも……

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 宅配便の荷物の受け取り。謝意の言葉は(写真:アフロ)

流通網の発達とインターネットを用いた通販の普及で、飛躍的に利用頻度が高まり社会的な必要性が増した宅配便。多分に業者の人と相対し、荷物を受け取り、受領書にサインや判子を押すことになる。その際、配達業者の人に感謝の意を込め、どのような言葉をかけるだろうか。今回は文化庁が2016年9月に発表した調査結果の概要「平成27年度「国語に関する世論調査」の結果について」(2016年2月から3月にかけて全国16歳以上の男女を対象に個別面接調査方式で実施。調査対象総数は3589人・有効回答数は1959人。属性別の回答者数、ウェイトバックの是非は非公開)の内容をもとに、その現状を確認していく。

宅配業者の人から荷物を受け取り手続きを終えた際、感謝、ねぎらいの意を込め、どのような言葉をかけるだろうか。選択肢として「お疲れ様(でした)」「ご苦労様(でした)」「ありがとう(ございました)」「どうも」「(何も言わない)」を提示し、どの言葉を用いることが一番多いかを尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 配達の人に対してかける言葉
↑ 配達の人に対してかける言葉

10年前の2005年度では最多回答率は「ご苦労様」でほぼ半数、次いで「ありがとう」、「お疲れ様」は1割にも満たない。ところが直近の2015年度ではトップと第二位が入れ替わり、「ありがとう」がほぼ半数となり、「ご苦労様」が4割足らずにまで落ち込んでいる。「お疲れ様」も多少ながら増え、1割を超えた。

もう少し短い間隔での経年変化があればこれが時代の流れによるものか、あるいはたまたまこのような結果が出たのかが判断できるのだが(特に震災前後で心境変化が生じた可能性が考えられる)、今件項目はこの2年分しか公開されていないので、断定は難しい。だが、上から目線的なイメージの強い「ご苦労様」が減り、多少の気恥ずかしさはあるものの相手への純粋な感謝の意味が強い「ありがとう」が増えているのは、興味深い動きには違いない。

直近となる2015年度分について、回答者の年齢階層別に仕切り分けしたのが次のグラフ。

↑ 配達の人に対してかける言葉(2015年度、年齢階層別)(「わからない」除外)
↑ 配達の人に対してかける言葉(2015年度、年齢階層別)(「わからない」除外)

若年層は圧倒的に「ありがとう」が多くその他の選択肢は少数派。30代以降になると急に「ありがとう」が減り、その分「ご苦労様」が増える。それ以降も年上になるにつれて、「ありがとう」は漸減し、「ご苦労様」が漸増する。宅配便の業者の人の年齢と、回答者の年齢との関係で、年下に見える人に対し、自然に目下的な認識を覚えてしまうのかもしれない。

あるいは単に、サービスを受けた時のお礼の言葉、感謝の意をこめて口にする言葉として、若年層は「ありがとう」、中堅層以降は「ご苦労様」を一義的に覚えている可能性はある。世代がシフトする10年単位での年齢階層別の調査結果、あるいは他の事例における謝意の言葉をかける時の言い回しの事例の設問・回答があれば検証も可能だが、残念ながらいずれも今調査結果では見つけることができない。

ちなみに少数派ではあるが「どうも」も全年齢階層で使われている。「どうもありがとう」のように意思表示の言葉の前につけて「大変」「とても」と強調する意味の流れで、短縮語的な形での利用(つまり今件ケースでの「どうも」は「どうもありがとう」を意味する)や、単純な挨拶的な意味としての用いられ方など、フランクではあるが意外に便利な言葉ではある。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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