朝の連続テレビ小説『虎に翼』をより多角的に楽しむために #専門家のまとめ
伊藤沙莉主演、朝の連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合)が好評だ。
日本初の女性家庭裁判長となった三淵嘉子(みぶち・よしこ)をモデルにした本作。猪爪(のちに佐田)寅子(伊藤)を主人公に、戦前・戦後の日本を舞台に日本国憲法のもと誰もが平等に権利を有し、かつ行使できる社会の実現を目指し、熱意を持って闘ってきた人たちの生き方が描かれていく。
本作についてはレビューをはじめネットだけでも実にたくさんの記事が書かれており、目にする人も多いことだろう。それだけ本作が多くの人の注目・関心を集めていることの証左であり、反響の大きさが期待度の高さを物語っている。
そこで、現在「裁判官編」が放送中の『虎に翼』をより多角的に楽しめるコンテンツを紹介したいと思う。
ココがポイント
▼沿革や組織についてだけでなく委員会の議事録、見学・傍聴案内なども紹介されている
▼『虎に翼』の法律考証担当を務める明治大学の村上一博法学部教授による、詳細な「『虎に翼』今週の解説」
・白雲なびく~遥かなる明大山脈~【番外編】「虎に翼」今週の解説 掲載一覧(毎週更新予定)(明治大学)
▼女性労働に関する判例データベース、戦後〜現在までの女性労働施策の行政資料なども見ることができる
エキスパートの補足・見解
今回、紹介したコンテンツはいずれも『虎に翼』の世界観に通底するものであり、特に「『虎に翼』今週の解説」は本作の関係者によるものだけあって非常に詳細で、登場人物のモデルとなった人などについても触れられており、ドラマを補完する観点からも興味深い内容となっている。
このドラマを見ていて思ったのは、日本国憲法が公布され、寅子たちが血のにじむような努力を重ね、もがき苦しんでいた時代からまだ100年も経っていないということだ。
法律への意識、人権への意識を高めるとともに、自分自身のあり方だけでなく、どんな立場でも、どんな考え方でも、どんな趣味嗜好を持つ人でも自由に生きることができる、誰もが暮らしやすい社会。一部の人たちに権利を無責任に委ねるのではなく、一人一人が生まれながらにして持つ権利のもとに平等に生きられる社会を目指したい。
志半ば、いや、果たしてどこまでその理念が実現しているか。思考停止に陥るには早すぎる。その意味でも『虎に翼』が果たす役割は決して小さくない。女性の生き方を描き、綿々と受け継がれてきた朝ドラの集大成のみならず、近年のテレビドラマにおいても一つの到達点に達した作品と言えるだろう。
本作を意味のあるものにするかどうかは、ここから先、男女問わず私たち視聴者が担うべき課題である。ドラマはまだまだ続くが、エンターテイメントの持つ大きな力と可能性を信じ、最後まで見届けたい。