【遠賀郡岡垣町】幼児から高齢者まで地域住民の拠り所に「てんぐや子ども食堂」
岡垣町にある「てんぐや子ども食堂」。地域の子どものみならず、大人たちにも寄り添える場所を作りたいという思いから、去年の7月にオープンしました。
「できる人ができる時に!」をモットーに地道な活動を続けているのは、「てんぐや子ども食堂」代表の宗岡優子(むなおかゆうこ)さん。
オープンから半年が経った今、改めてお話を伺いました。
こんな時代だからこそ、助け合っていきたい
「数年前に『子ども食堂をやりませんか?』と知り合いに声をかけられたんです」。
だけど当時は「目の前の仕事に夢中だった」と話す宗岡さん。
それから何年か経って仕事がようやく落ち着いたときに、「また声をかけてもらえたことで、ようやく決意できた」と言います。
ちょうどその頃、世間はコロナ真っ只中。年々問題となっていた「孤食」にも拍車がかかっていたことで、宗岡さん自身も危機を感じていたんだとか。
「ご近所の付き合いがなくなるどころか、食卓を囲む家族さえ減ってきているじゃないですか。学校に行っても黙食だし、1人暮らしの人もそうだけど、みんなで楽しく食事をとる機会が目に見えて減っていく現実に悲しくなったんです」。
だからこそコロナ禍を乗り越えた今、「みんなで顔を合わせながら食べる食事の楽しさやごはんの美味しさを、改めて知ってもらいたい」という思いも日に日に強くなったと言います。
「両親が残してくれた『てんぐや食堂』で、いつか何かをしたいとは考えていたんです。今思えばそれも巡り合わせだったんでしょうね」。
2023年7月22日に開催した第1回子ども食堂では初めての試みにも関わらず、約60人の来場者に食事をふるまいました。
「気負わず、気楽に、楽しく、真剣に」
「子ども食堂としてはいるけど、子どもだけではなく、地域のおじいちゃんおばあちゃんにも楽しんでほしいんです」という宗岡さん。
実際に過去のイベントでは全て、高齢者たちも嬉しそうにテーブルを囲んでいたと言います。
またボランティアメンバーとして活躍する高齢者も多く、調理の手伝いに参加した女性は「これが生き甲斐になっている」と笑顔を見せてくれました。
この場所が誰かの希望に繋がりますように
実は夜の子ども食堂が開かれたときに、筆者も息子2人を連れて参加させてもらったのですが、普段は全くご飯を食べてくれない次男が、別人のようにカプカプとカレーを頬張っていたんです。
生まれた時からコロナ真っ只中で、俗にいうコロナ世代の次男なので、考えてみれば今まで大勢でご飯を食べることなんてなかったなぁと。
むしろ私自身も、「こんなに大勢で食事をしたのはいつぶりなんだろう」と考えても思い出せないくらいで、この場所のありがたさを身をもって実感しました。
「今はお昼ご飯と夕ご飯が1回ずつで月に2度の開催ですが、これから少しずつでも増やしていきたいと思っています。本当に困っている方たちにも『てんぐやに行けばなんとかなる!』と頼ってもらえるような存在になれたら、何よりの本望ですね」。
宗岡さんのその志に、筆者もできる限りのエールを送りたいと思います。
「てんぐや子ども食堂」
住所:福岡県遠賀郡岡垣町吉木西1-1-5
※子ども食堂開催日については公式インスタグラムから確認できます。