やっと日銀の政策委員から正論が飛び出してきた。金融政策の枠組みなどの検証を行うことが適当と
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日本銀行の田村直樹審議委員(61)が1日までに、朝日新聞のインタビューに応じた。日銀が10年近く続ける大規模な金融緩和について、「しかるべきタイミングで、金融政策の枠組みや物価目標のあり方を含めて点検、検証を行うことが適当だ」と述べ、全面的な検証が必要との考えを示した(2日付朝日新聞)。
現職の審議委員が、物価目標の検証を求めるのは極めて異例だと朝日新聞は伝えていたが、むしろそれを指摘するのが遅すぎたぐらいだと思う。ただ、1日の外為市場でドル円が135円台をつけた背景、つまり円高になった背景にこの田村審議委員の発言があった。日銀の政策修正が意識された。
田村直樹審議委員は高田創審議委員とともに、今年7月24日に日銀の審議委員に就任した。田村氏は三井住友銀行から日銀審議委員に就任した。つまり金融に精通した人物である。これについては高田創審議委員も同様である。
田村氏と高田氏の審議委員の就任によって、現在の異次元緩和に対し、反対票を投じるのではないかと個人的には期待していた。しかし、9月と10月に開催された金融政策決定会合では、この二人を含めて全員一致での現状維持となっていた。
これに対して個人的にはやや失望感があったものの、今回のインタビューの内容を見る限り、やはり、リフレ派とは対極的な見方をしている人物であったことがわかる。やっと政策委員から正論が出てきたとも言える。これが観測気球なのか、それとも日銀批判ヘのガス抜きなのかと、あまり勘ぐらず、素直な意見が出てきたとみておきたい。
「しかるべきタイミングで、金融政策の枠組みや物価目標のあり方を含めて点検、検証を行うことが適当だ」
このしかるべきタイミングをどのように見ているのかも気になる。一般的な見方をすれば黒田総裁の任期終了後となろう。しかし、金融政策を取り巻く環境は様変わりしており、そこまで悠長に待てるような状況でもなくなりつつある。
今回、田村氏は金融政策の枠組みについてだけでなく、物価目標のあり方についても指摘している点についても好感したい。
日本の物価上昇は欧米とは違うというのが、黒田総裁などリフレ派の指摘であった。欧米とは違うということはある意味正しい面もあるが、それは日本の物価が本来であれば簡単に上昇してこないものであったという見方もできる。足下の物価が3%台というのが、日本にとっては数値以上に大きなものとの解釈もできる。2%という物価目標そのものの見直しも当然必要となろう。