YouTubeとニコ動はどちらが上か…動画や画像共有サービスの利用状況をさぐる(2020年公開版)
YouTubeは3/4強の人が利用中
インターネット回線の高速化、各インターネット端末の映像処理能力の向上と映像処理技術の進歩、そして高い機動力を持つスマートフォンの普及は、動画や画像を共有するサービスを飛躍的に浸透させた。言語の壁すら取り払う動画や画像の共有化は、言葉通りワールドワイドな世界を展開させるツールとして広がりを見せている。今回は日本で主流の動画共有サービスであるYouTubeとニコニコ動画、さらには画像の共有サービスとして名を知られているInstagramに関して、総務省が2020年9月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、利用状況を確認する。
まずはYouTube。
全体利用率は3/4強。男女別では男性の方が高く、年齢階層別では10代がもっともよく利用して9割強を示しているが、20代もほぼ同率、そして40代までは8割超えを維持している。そして60代以降でも4割強は利用している。
利用端末を見ると実のところYouTubeは概して携帯電話メインのサービスとなりつつある(その多くはスマートフォンだろう)。男女別では携帯電話の利用状況に大きな差異は無いものの、パソコンでは男性の方が閲覧率はかなり高い。元々パソコンの利用率自身男性の方が高いため、当然の結果ではあるが、見方を変えれば男女別の全利用における比率では、女性の方が携帯電話経由の利用割合は高いことにもなる。またすべての年齢階層で携帯電話経由が上な状態なのも注目に値する。
書き込み・投稿者の割合はさほど多くなく、パソコンで2.1%、携帯電話で3.0%。YouTube利用者の大勢は閲覧側にあると見てよい。
ニコニコ動画は20代では約1/3
続いてニコニコ動画。
全体では1割台後半。男性の方が利用率が高く、年齢階層別では10~20代の利用率が高く、30代以降は利用率が急激に下がる。YouTubeと比べて汎用性の低さ、投稿される動画の傾向の違いなどが原因か。
利用端末別では興味深い動きが確認できる。全体ではパソコンと携帯電話にさほど大きな違いはない。やや携帯電話の方が多い程度。男女別ではパソコン・携帯電話間の差異において女性の方が大きい。年齢階層別では10~20代が閲覧だけでなく、投稿でもそれなりの値を示している。特に20代においてパソコンの利用率・投稿率が高く出ており、積極的に利用しているようすがうかがえる。30代以降は閲覧の値が低くなり、投稿率もほとんどなくなる。
Instagramは若年層に大人気
最後は動画ではなく画像共有サービスのInstagram。他のソーシャルメディアとの連動性も高く、かつてのポラロイドカメラ的な使われ方もされている。2012年4月にはFacebookが買収したが、その後も独立性を保ち、他サービスとの連動性も維持されている。
全体利用率は37.8%。おおよそ3人に1人は使っている。男女別利用率では女性が圧倒的に高く、4割強で男性の1.4倍ほどの割合。年齢階層別では10~20代が主流で、この年齢階層では6割強の人が利用していることになる。
利用端末・スタイル別では圧倒的に携帯電話経由が多い。また、閲覧だけでなく投稿率も高いのが特徴で、10~20代では1/3超の投稿率を示している。30代でも携帯電話経由の閲覧率は4割強、投稿率も22.9%と、決して低くない値を示している。
日本で利用できる動画・画像共有サービスは今回例示した以外にも多数存在する。また最近では録画した動画ファイルの共有ではなく、リアルタイムでライブ配信をするストリーミング系サービス(例えばツイキャス、ニコニコ生放送、YouTube liveなど)も注目を集めている。これらもさらに利用率が高まれば、あるいは調査対象項目として加わるかもしれない。
冒頭で動画・画像共有サービスの拡大の理由をいくつか挙げたが、最大の要因はやはりスマートフォンの普及にある。今後さらに端末の利用率は上昇することから、動画・画像共有サービスもまた同様に、その利用状況は活性化することだろう。
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※令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
2020年1月14日から1月19日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。
調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きをしている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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