公共料金などの定期的な支払い方法の移り変わりをさぐる(2020年公開版)
電気代やガス代のような公共料金の支払いをする場合、どのような決済手段を用いているだろうか。単身世帯と二人以上世帯それぞれの実情を、金融広報中央委員会の「知るぽると」が毎年実施している調査「家計の金融行動に関する世論調査」(※)の公開結果から確認する。
まずは二人以上世帯。日常生活における買い物ではなく、公共料金などの定期的な支払いでは、口座振替が主流となっている。ただしポイント制の恩恵(利用金額次第でポイントが加算され、ポイントが貯まると色々なサービスを受けられる仕組み)を受けるためと考えられるが、クレジットカードの利用が漸増している。2017年ではついに、クレジットカードの利用率が現金利用率を上回る形となり、その状況は2018年以降も続いている。
現金比率に大きな変化が無いこと、口座振替の値が漸減していることから、現金支払いをする対象はほぼそのまま、そして口座振替の手口が一部クレジットカード支払に切り替えられているようだ。少しでも特典を得ようとする、賢い選択をしている動きなのだろう。
続いて単身世帯。公共料金などの定期的な支払いでは、口座振替が主流。ただし二人以上世帯と比べると、口座振替の利用者の減り方が大きく、クレジットカード利用者の増え方のペースが速いのが目に留まる。そして2013年にはついに両者の立ち位置が逆転した。
2014年以降は口座振替とクレジットカードの値がもみ合いを続けたが、2016年に差が広がる形でクレジットカードの率が上回った。直近の2019年では両者とも前年比で値は増加したものの、差はさらに広がる形となっている。
このようにクレジットカードの利用が増え、口座振替を超えるまでに成長しているのは、「個人のクレジットカード口座」と「家計全般の口座」が同じであり、それならば利用する金額が多いほど特典を得られるクレジットカードを使った方がよいとする判断の結果によるもの。
世帯構成員個人の私財を預かる「お財布」と、家族全体の家計をあずかる「お財布」が同じか別物か。ここに、単身世帯と二人以上世帯における、電子マネーやクレジットカードの利用傾向の違いが表れていることになる。
電子マネーにしてもクレジットカードにしても、有効な活用方法を実践できれば、お得な点も多い。いかにメリットを引き出せるか、単身世帯はもちろん二人以上世帯でも、色々と考えてみることをお勧めする。
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※家計の金融行動に関する世論調査
直近分となる2019年分は二人以上世帯においては、層化二段無作為抽出法で選ばれた、世帯主が20歳以上でかつ世帯員が2名以上の世帯に対し訪問と郵送の複合・選択式で、2019年6月14日から7月23日にかけて行われたもので、対象世帯数は8000世帯、有効回答率は40.3%。単身世帯においてはインターネットモニター調査で、世帯主が20歳以上70歳未満・単身で世帯を構成する人に対し、2019年6月21日から7月3日にかけて行われたもので、対象世帯数は2500世帯。過去の調査も同様の方式で行われている。
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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。