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未就学児とその保護者にとって「9月入学」はデメリットのみ?保護者からの切実な声

室橋祐貴日本若者協議会代表理事
(写真:アフロ)

賛否両論が白熱している「9月入学」への移行案。

先日にも学生の声を取り上げたばかりであるが、本人が声を挙げられない「未就学児」の保護者からも、多くの意見が届いているため、一部紹介したい。

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なお、100件程度の意見が集まっているが、未就学児の保護者に限ると、賛成はゼロ、反対がほぼ100%である。

もちろんあくまでwebアンケートもしくは日本若者協議会のHP等に寄せられた意見であり、一定のバイアスがかかっている可能性もある。それでも、未就学児、その保護者からすると、予定が崩れ、一学年の人数が増えるなど、デメリットが大きいのは明らかではないだろうか。

未就学児へのしわ寄せ

「9月入学」に移行すると、未就学児とその保護者にはどういう課題が生じてくるのか。

大きく分類すると、「想定していた学年が変わる」、「急に幼稚園の友達と学年が変わる」、「一学年だけ人数が1.4倍程度になる(その結果、教員一人当たりの生徒数が増えたり、就職に不利になる)」点が挙げられる。

実際にはどういうことなのか。手元に届いている保護者からの悲痛な声を一部紹介したい(下記、文章の長さ等を考慮して筆者が一部編集している)。

年中児と今年2歳になる子どもの保護者です。

昨今の新型コロナウイルス問題に伴い、小学生以上の学習の遅れ、地域格差などが問題となっています。その対応案として、「9月入学」が政府で検討されることとなっています。

9月入学の賛否を問いたいのではなく、この議論において、未就学児の視点が欠如している、「9月入学」議論に未就学児の立場・視点をきちんと取り入れていただきたいという趣旨で意見を書かせていただいています。

具体的には、9月入学に賛成をしていても反対をしていても、「未就学児を9月入学の調整弁にしないで!」、「未就学児を大切にして!」という親としての切実なる願いを行政に伝えていただきたいというお願いです。

昨今の「9月入学」に関する議論を見ている限り、小学生以上、特に受験を控えた学年のみが検討・考慮される対象となっているように感じています。現状、政府からも文部科学省からも、具体的な「9月入学案」については示されていませんが、基本的な議論の流れは「小学校入学をどうするか」ということが主な論点となっています。

しかし、小学校の入学時期を変えると言うことは、学年編成の問題が生じ、当然、その問題は今の未就学児にも及んできます。

我が家の娘は、幼稚園が大好きです。お友だちと遊ぶことが本当に楽しくて仕方がないそうです。「ディズニーランドに行くために幼稚園をお休みするくらいなら、ディズニーランドには行かない」と言うくらい大好きです。

「9月入学」が検討されているなか、未就学児に生じる可能性のある課題についてはほとんど議論に上がっていません。このまま、未就学児に及ぼす影響について取り上げられずに、何より検討すらされずに「9月入学」が進められてしまうことだけは、断固避けなくてはいけないと一人の親として強く思っています。最悪の場合、未就学児が「9月入学の調整弁」とされかねないとも思っています。

もしも、「9月入学」によって未就学児のお友だち関係が破壊されることがあったとしたら、それはあまりにも子どもにとっては理不尽なことです。

このようなことは絶対にあってはなりません。

このような事態が生じたとしたら、それは「災害」ではなく「人災」です。

未就学児も大切な国民の一人です。日本の将来を担う国民であるとともに、今は守るべき弱者です。

私は年長児の親です。未就学児の保護者の立場から、全面的に反対です。

制度の変更で来年の新小学1年生の人数が増えたら、人数が多い状態のまま成人するまで過ごさなければなりません。人数が多い分「落ちこぼれ」が増え、非行、いじめ、自殺など、人格形成そのものに影響する可能性が考えられます。未就学児でズレを調整するなんて、あまりにも暴挙です。まだ言葉を上手に発せない子どもたちだからこそ、慎重に気持ちを汲んであげてください。

未就学児二人の親です。TVでは問題点が取り上げられなくて、賛成者しか出演されてなく声をあげられないので、どうかお力を貸して下さい。

・小学生未満の、成長過程、集団生活、行事が削減される

・年中→年長飛ばされ→小学生

・年少→年中飛ばされ→年長

これ以下ずっとお腹の子供までずらしが続く。

人格形成、社会に慣れるという重要な時期なのに、非常に問題である。

・新1年生が1.4倍。

自然現象ではなく、意図的に作られ、生涯不利で不幸な学年を創り出す。

月ごとに分けて調整していったらいいと言われるが、それなら結局一番目の話になり、友達とも離され解決策ではない。

・待機児童の増加

遅らされることによって、入れない子が路頭に迷う

・親の仕事復帰の遅れ

・半年間の空白による学びの遅れ

新入園生が入れない

・学習、社会への遅れ、少子化加速

全体を遅らすことにより、学ぶ時期が遅くなり、社会進出も遅れ、結婚、出産も遅れ、少子化になりかねない。

知能の低下

・将来設計が崩れる

兄弟姉妹の差や、保育園入園に有利になるように、計画出産している人が多数だが、将来設計が壊され、資金繰りも困難。

兄弟姉妹が同学年になったりする。

・海外との1年遅れ

9月入学について反対です。未就学児にも人権があります。

孫が年中4月生まれです。孫の年代から学年を調整されると聞きました。そうなると孫は年中もコロナで通えていない中、年長という大事な機会を奪われます。

子供たちのことを考えてと言いながら、テレビのみなさんは誰も未就学児について触れていません。

2人の未就学児の親になります。

私の家庭の場合、私が早生まれで苦労したこともあり、子どもの4月誕生を目指した家族計画を立て、クリニックへの通院など経て実行してきました。お蔭様で第1子は4月生まれで現在年中、第2子は8月生まれで未就園です。

9月入学の実施が決まった場合、第1子は本来年長を過ごすはずであった1年間が4月から8月までの4か月間に短縮され、2021年9月から新1年生になることが予想されます。「過ごせなかった青春を取り戻すために9月入学を」という声もあるようですが、9月入学が実施されれば第1子から最高学年で経験できるはずだった機会が奪われます。また「受験勉強が不利になる」との声も見受けられますが、こちらも同じく小学校受験という点で、急遽1つ上の学年と同じ土俵に立たされる第1子のような存在も生まれます。ある程度年齢を重ねている大学受験と違い、生まれてから日が浅く、生まれ月で成長が大きく異なるこの年齢において、準備期間に1年という差が生じてしまうのです。そしてこの第1子が含まれる新学年(2014年4月~2015年8月生まれ)は小学校受験だけでなく各種受験や就職活動に及ぶまで、この人数で競争を強いられることになります。

また、第2子は第2子で8月生まれですので、9月入学の実施でいわゆる早生まれに該当することになってしまいます。このように未就学どころか未就園の子どもたちにも影響があることを検討いただいているのでしょうか。

9月入学導入の議論について、一保護者としてご意見をお伝えしたく、ご連絡させていただきました。

この件に関してはとても気になり、ニュースをチェックしておりますが、未就学児のことがあまり顧みられていないように感じ、とても不安に思っております。

私には現在小2の子供、年長の子供(2014年8月生まれで、来春に入学予定)、3歳になったばかりの子供がおります。

特に心配しているのが、二人目と三人目の子供のことです。

まず、二人目の子供については、次の一年生になる子供が1.4倍の数になるのではという話もあり、そんなことになれば、受験、就職までずっと過酷な競争を強いられることになります(その心配は、2015年4月~8月生まれの子を持つ親御さんのほうがさらに強いかもしれませんが)。

また、超マンモス学年となるため、試験以外でも様々な制約が生まれるのではないかとおそれております。私の学区の小学校は、既に今の時点で教室が足りておらず、数年前から児童数の増加に対応するために図書室や多目的室をつぶして教室を増設しています。

図書室がなくなり、図書スペースに変更されてしまったところへ、さらにまた児童数が増えたために、昨年はまたその図書スペースの一つをつぶすという話が学校からあったばかりです。

通常、学校には当然あるべき図書室すらないのです。

また、都心部の学校にはよくあることなのかもしれませんが、校庭も狭く、運動会などもぎりぎりのスペースで、保護者なども入れ替え制で無理やり行っている状況です。

そんなところへ、1.4倍の新一年生が入学できるわけがありません。

また、一番下の子については、上の二人の通った幼稚園に来春入園させる予定なのですが、9月入学がどうこうという話になれば、急に学年を繰り上げられ、幼稚園生活を短くされてしまうのではないかとの心配も大きいです。

一番下の子については、後れを取らせないためになにか学習を始めなければならないのかと、追い詰められた気持ちでおります。

いずれ学習をはじめるにしても、のんびり子供に合わせたペースでと思っておりましたが、そんなことも言っていられないのかと、どうしていいのかわかりません。

こんなことにならなければ、なんとかコロナがおさまるまで、極力楽しく家庭での生活を楽しもう、上の子の勉強もフォローしていこうという前向きな気持ちでいたのですが、この話が出てきてから、不安でたまりません。

9月入学のニュースを見ていますと、生まれ月を一か月ずつスライドすればいいだけだとかいう意見も散見されます。

そういう意見を言っている人達は、スライド対象の子供というのは単に〇月生まれの子供という集団としか見ていないように思います。

でも、子供一人ひとりとその親にとってみれば、急に学年を繰り上げられたりすれば、一生の問題となるのに、まるで荷物をあっちからこっちに移すかのように平気で「スライド」などと言うのはおかしいです。

もし、どうしてもスライドさせて入学させ、就学年齢が遅れることを避けたいというのならば、せめて今産まれていない子供からにしていただきたいです。生まれていなくても、今、母親のお腹にいる子供たちにも影響のないようにしていただきたいです。

今、妊娠している人にとっても、急に子供の学年を変えられるのは青天の霹靂だと思います。

いついつからスライドしますと周知しておけば、それも考えて家族計画を考えることもできるでしょう。

胎児も含め、既にこの世にいる子供にしわ寄せがくることのないようにしてください。

保活、受験、きょうだいの学年差など、様々な理由で子供の生まれ月を調整しているご家庭は少なくないはずです。

9月入学の議論の際、未就学児のことがほとんどかえりみられていないことに非常な不安を覚えます。

未就学児も、今、学校で学ぶ子供たち同様、大切に考えてほしいです。

これまで、散々当事者の声を反映させる重要性を訴えてきたが、政策に落とし込む際には、声を挙げられない立場のことも考えなければならない。

そう考えると、未就学児にしわ寄せがいく形での「9月入学」への移行はやはり避けなければならないだろう。

保護者への負担解消も必須

また、「9月入学」とは別に、現在保育園休園や学校休校によって、保護者の負担は大幅に高まっており、そこへの是正も求められる。

「コロナ危機下の育児と仕事の両立を考える保護者有志の会」のアンケート結果(回答1634名)によると、6割以上の保護者が自宅で仕事を中断しながら保育をしており、約4割の保護者が早期の休園解除を希望している。

<アンケート結果サマリ>

・アンケート対象者のうち、6割超が自宅で仕事を中断しながら保育をしている。

・両立の困難さから、約半分の保護者が、子供の体調に変化があったと答えた。

・多くの保護者は日中の業務未達を補うため夜間の作業等を行っており、心身ともに疲弊したり、勤務先からの評価の低下・失業のリスクを感じている。

・感染予防のため祖父母など家族の支援が受けられない状態であるが、ベビーシッターの使用率は約4%とあまり普及していない。

・感染のリスクに対して慎重ではあるものの、約4割の保護者が早期の休園解除を希望している。

出典:「首都圏の未就学児保護者対象:緊急事態宣言後の育児と仕事の両立状況に関するアンケート」調査結果

<提言>

1. 最新の感染状況を踏まえながら、保育従事者や子ども達を守るための十分な感染対策を講じた上での早期の休園解除検討をお願いします。(分散登園等の段階的な再開を含む)

2. 休園中に保護者がベビーシッターを使いやすくなるよう、活用方法に関する明確な発信や補助などの支援、安全に依頼できるデータベース整備をお願いします。

3. 緊急事態宣言期間中における公園遊具の使用禁止解除や、育児休業延長、登園自粛継続など個別事情への対応、やむなく認証・認可外園に通う園児の保護者に対する金銭的支援などの支援をお願いします。

出典:「首都圏の未就学児保護者対象:緊急事態宣言後の育児と仕事の両立状況に関するアンケート」調査結果

日本若者協議会代表理事

1988年、神奈川県生まれ。若者の声を政治に反映させる「日本若者協議会」代表理事。慶應義塾大学経済学部卒。同大政策・メディア研究科中退。大学在学中からITスタートアップ立ち上げ、BUSINESS INSIDER JAPANで記者、大学院で研究等に従事。専門・関心領域は政策決定過程、民主主義、デジタルガバメント、社会保障、労働政策、若者の政治参画など。文部科学省「高等教育の修学支援新制度在り方検討会議」委員。著書に『子ども若者抑圧社会・日本 社会を変える民主主義とは何か』(光文社新書)など。 yukimurohashi0@gmail.com

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