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合意なき離脱リスク50%、撤回求め英史上最大級100万人行進「5歳でももっと上手にEUと交渉できる」

木村正人在英国際ジャーナリスト
EU離脱で英国経済を殺すメイ英首相のデコレーション(筆者撮影)

[ロンドン発]英・EU(欧州連合)離脱交渉が行き詰まり「合意なき離脱」のリスクが再燃する中、「離脱手続きの撤回」や2度目の国民投票を求めて史上最大級の100万人が23日、ロンドン市内を行進しました。

筆者撮影
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英国のテリーザ・メイ首相は自分とEUの離脱合意を3度目の英下院採決にかけようとしていますが、鍵を握る北アイルランドのプロテスタント系地域政党・民主統一党(DUP)を説得できそうにありません。

3度目の採決で承認される見通しは「5%」(エマニュエル・マクロン仏大統領)もなさそうなことから、「合意なき離脱」のリスクが高まり、確率は50%と判断する金融街のストラテジストもいるほどです。

筆者撮影
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英国を「合意なき離脱」から救えるのは私しかいないと、米映画『ワンダーウーマン』の主人公に扮した女性も登場しました。

筆者撮影
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EU離脱を主導した英国のメイ首相(右から)、ボリス・ジョンソン前外相、マイケル・ゴーブ環境相、英国独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ元党首のデコレーション。

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メイ首相ら離脱派を監獄にぶち込んでしまえとロックで訴えるグループ。

筆者撮影
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「私を首相にしてくれたら、もっと良い仕事をしてみせる」と書かれたプラカードを掲げる女の子。「5歳の僕でも、もっと上手にEUと交渉できる」とプラカードで訴える男の子もいました。

筆者撮影
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ブレグジット(英国のEU離脱)という拳銃を口に突っ込んで自殺しようとするメイ首相の風刺画。

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「僕の未来を返せ」というプラカードを掲げる少年。

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TV演説で「私はあなたたちのサイドにいる」と訴えたメイ首相に対し、「あなたは私たちの側にはいない」と反発する有権者。

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離脱手続きを撤回してEUに残留し、英国を再建しようと書かれたベッグ・ベン(時計台)のデコレーションを担ぐ女性。

メイ首相がTV演説で議会に責任をなすりつけ、その挙げ句「合意なき離脱」に傾いたことから、EUに対する離脱手続きの撤回を求める英議会の電子署名はアッという間に440万人を突破しました。

手詰まりになったメイ首相は、EUから離脱できない責任をなすりつけた議会に今度は残留か、離脱かの選択を丸投げする可能性が膨らんできています。議会に与えられる選択肢は次の7つでしょう。

(1)離脱手続きの撤回

(2)2度目の国民投票

(3)メイ首相とEUの離脱合意

(4)メイ首相案プラス関税同盟

(5)メイ首相案プラス関税同盟・単一市場へのアクセス

(6)自由貿易協定(FTA)

(7)合意なき離脱

交渉が完全にふりだしに戻ることを果たしてEUが受け入れてくれるのかどうか。すでに英国を見放しているEU側の選択肢は双方の離脱合意か、合意なき離脱かの2つしかないような気がするのですが……。

(おわり)

在英国際ジャーナリスト

在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。masakimu50@gmail.com

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