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日本から米ロ中韓印への親近感の変化を確認

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 国民感情としての親近感は多様な情報で移ろいやすいものだが

内閣府は毎年、日本から主要国に対する外交に関する世論調査(※)を実施している。その内容を元に、主要国の米ロ中韓印への親近感の長期的推移を確認する。国民感情としてどのような動きがあるのだろうか。

今調査では対象国に対する親近感に関して回答者に「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」「分からない」「どちらかというと親しみを感じない」「親しみを感じない」の5選択肢を提示し、その中から1つを選んでもらっている。今件ではこのうち前者2つ「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」を合わせた値を「親近感」と位置付け、その推移を見たもの。なおインドは1991年から2007年は「南西アジア諸国(インド、パキスタンなど)」と尋ねているため、厳密には連続性は無い。

↑ 主要国への親近感推移(「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」の合計)
↑ 主要国への親近感推移(「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」の合計)

アメリカ合衆国への好感度は押し並べて高く、ここ数年では一段高の状態にある。一方中国は全体的に右下がりで、この30年ほどの間に1/2から1/3ほどまでに減少しているのが一目瞭然。直近年の持ち直しも、トレンド転換を予見させるレベルのものでは無いことが分かる。

ロシアは10%強を低空飛行したまま。1990年前後に一時的に盛り上がりを見せたが、すぐに急降下。2000年前後からは再び上昇しているが、これはプーチン政権の発足と対日融和政策によるところが大きい。さらに2012年以降は再び大きく上昇を見せているのが興味深い。ロシアの大統領選挙が2012年3月に実施され、プーチン氏が当選したこと、それに伴いプーチン氏が再び日本のメディアに登場し、好意的な印象を与えているのが継続して影響しているものと考えられる。

最近では2014年に発生したウクライナ騒乱、クリミア危機、さらにはロシアの直接・間接的軍事侵攻を受け、負のイメージが生じた結果として、同年以降は下落を示してしまった。他方、直近の持ち直しは昨今のプーチン氏のメディア露出の増加が影響しているのだろう。

韓国やインドは基準値こそ違えども同じようなカーブを描いて上昇中。ただし2009年以降韓国は頭打ち、そして2011年から2012年にかけて大幅な下落を記録し、2014年もさらなる急落、2015年以降はようやく持ち直しを示している。

中国は尖閣諸島と反日暴動、ガス田、小笠原諸島のサンゴ違法搾取、沖縄や尖閣諸島などの問題をはじめとする日中間の直接の対立に加え、南シナ海の人工島造成問題など、韓国は竹島、さらに双方の国とも強圧的・理不尽・理不尽な外交姿勢・対日経済施策が大きく影響しているものと考えれば、2012年以降における急落の納得はいく。2013年に見られた一時的な状況の改善は単年のイレギュラー的なもので、概して低い値が継続していることが、今回のグラフから改めて実感できる。

直近の両国への親近感における上昇ぶりは報道頻度など情報の伝達ウェイトが軽減した結果によるところが多分にあり、中韓それぞれに対する親近感減退の要因が解決に向けて動いているわけでは無いことを留意しておく必要がある。

↑ 諸外国との親近感(対米中韓限定、直近年と前年)
↑ 諸外国との親近感(対米中韓限定、直近年と前年)

今件はあくまでも不特定多数の母体による世論調査の結果であり、それがそのまま日本国全体としての各国への外交施策における判断につながるわけでは無く、国民の総意としての対外公的ステートメントを意味するものでもない。一方で、主要国への印象を推し量るとの視点では、十分に役立つ値ではある。

注意すべきは「親しみを持たない」が「マイナスのイメージを持つ」には直結しないこと。単に親近感を持つ・持たないに関して判断するだけの材料が無い、認識度が薄い可能性も多分にある。ロシアをはじめとした旧共産国や日本から距離的に遠い国で親近感が薄いのは、多分になじみが薄いのも要因なのだろう。

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※外交に関する世論調査

毎年実施・公開しているもので、直近分となる2016年分は2016年10月27日から11月6日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する人の中から層化2段無作為抽出法によって選ばれた人に対し、調査員による個別面接聴取法によって行われた。有効回答数は1804人。男女比は848対956、世代構成比は10代28人・20代133人・30代206人・40代304人・50代281人・60代383人・70代以上469人。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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