学生・生徒のソーシャルメディア利用状況をさぐる
学生・生徒のLINE利用率は8割強、ツイッターは6割強
10代から20代の若年層ではソーシャルメディアの利用率が高いことはよく知られている。一方で昨今では学生などにおける、いわゆる炎上事案がソーシャルメディアなどで増加しているのも事実。そこで今回は総務省が2017年7月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、学生や生徒におけるソーシャルメディアの利用状況について確認する。
まず最初に示すのは、各サービスの利用をどの種類の端末から行っているかに関する回答値。
学生などに限ればLINEが8割強の利用率でトップ、次いでツイッターが6割強、FacebookとGoogle+は2割強。mixiは4.4%でしかない。
端末種類別利用率だが、パソコンは高い値でもLINEとツイッターの1割強でしかなく、Facebookは5%足らず、Google+は1割。携帯電話(多分にスマートフォン)経由の利用が圧倒的に多い。また利用スタイルもサービスにより大きく異なり、LINEは読み書きがほぼ同率で携帯電話経由が圧倒的、ツイッターはやや閲覧の人の方が多いが、パソコン経由の閲覧者はLINE以上。やや意外なのはFacebookで、パソコン経由の利用者は少なめ。
また全般的に携帯電話経由の閲覧利用者が多いのも特徴の一つ。スマートフォンがあれば大よそのサービスにはアクセス可能である、むしろそちらに主軸を置いているサービスも多々あることから、わざわざパソコンを使うまでも無く、またパソコンに(プライベートで)触れる機会が無い人も多分にいるのだから、当然だろう。ましてや学生・生徒となれば、自分自身のパソコンを持っている人は大人と比べればごく少数になる。家族全体の保有、あるいは保護者のを借り受ける形で利用しているパソコンで、個人的内容のやりとりが多いソーシャルメディアの利用は、気が引けてしまうに違いない。
動画や画像の共有サービスは?
続いて動画や画像の共有サービス、具体的にはYouTube、ニコニコ動画、Vine、Instagramを同じく学生・生徒に限り、その動向を確認していく。なおVineは現時点ではすでに本来のサービスを終了している。
YouTubeは8割強、ニコニコ動画は3割程度、Vineは6.7%、そしてInstagramは1/3強が利用している。端末などの利用状況を見ると、いずれのサービスでも携帯電話経由の閲覧利用率が高く、パソコン経由はそれ以下の値を示している。特にYouTubeでは2/3近くが携帯電話経由で閲覧していると答えている。これだけ大勢の利用者が居れば、いわゆるユーチューバーが学生諸氏に受け入れられるのも理解はできるのもうなづける。
投稿動向はといえば、YouTubeでは携帯電話経由の方が多いが、ニコニコ動画はパソコン経由の方が多い。またInstagramはそのサービスの特性上、携帯電話経由による投稿率が非常に高く、1割強の人が投稿していると答えている。
大学生ともなれば自らのアルバイト代から本体代や通信料をねん出する場合が多々あるが、高校生までは概して保護者から本体代・通信料を出してもらうことになるため、中学生の時点では家庭での負担をかんがみ、スマートフォンを利用できない・させてもらえない場合が多い。今後もスマートフォンの普及は進み、各種調査結果でも高校生はほぼ9割を超えている一方で、中学生でも少しずつ普及率は上昇しているが、高校生のような高みに登るのは難しい。
学生における各種ソーシャルメディアや動画共有サイトの動向の視点で見ると、今後も各サービスに対する魅力が変わらなければ、利用可能端末の利用率が上昇する以上、携帯電話経由での利用は漸増する。しかしそのスピードはこれまでと比べれば緩やかなものとなるに違いない。
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※平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
2016年11月26日から12月2日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。
今件の値は各サービスの利用をどの種類の端末から行っているかに関する回答値。回答時点で該当サービスを閲覧しているか、書込みや投稿をしているか、そして利用する際の端末はパソコン(PC。ノート、デスクトップを問わず)か、携帯電話(従来型携帯電話、スマートフォンを問わず)かについて尋ねている。単純な利用状況は「いずれからも利用していない」を元に逆算したもの。
今回の対象となる年齢は特に記載されていないが、職業区分で「学生・生徒」とあり、調査対象母集団自身が13歳以上なので、中学生から高校・大学(院)、さらには短大や専門学校生も含めた学生や生徒であるとする(中高生は「生徒」で、大学生などは「学生」である)。