元bjリーグの京都ハンナリーズはBリーグで旋風を巻き起こせるか?
NBLとbjリーグを統轄して昨シーズンから誕生したBリーグ。1年目はチャンピオンシップ(CS)進出8チームのうち6チームが元NBLという“リーグ格差”が垣間見られた。bjリーグから参加した京都ハンナリーズも25勝35敗と苦戦を強いられ、西地区5位に終わった。
昨シーズンのロースターから7選手を入れ替え“新生”ハンナリーズで臨んだ今シーズン。ホーム開幕2連戦でプレーオフ進出チームの1つ三遠ネオフェニックスに連勝すると、第2節は同じくプレーオフ進出チームの千葉ジェッツと適地で1勝1敗のタイに持ち込んだ。そして迎えた先週末の第3節は昨シーズンのB2王者の西宮ストークスをホームに向かえ連勝を逃し1勝1敗に終わったが、2試合とも見応えのある試合を繰り広げた。
特に14日はホーム初黒星を喫したものの、第3クォーター途中までで最大23点差つけられながら選手たちは集中力を切らすことなく反撃を開始。第3クォーター中盤以降に8点差まで縮め、8日のジェッツ戦で第4クォーターから大逆転勝利を飾った時のような爆発力をみせつけ地元ファンを興奮させた。
まだ第3節が終わったばかり。メンバーも大幅入れ替えしているだけにチームとしての成熟度はまだまだだ。それでも4勝2敗という成績を残しているハンナリーズが秘める可能性は高いように感じる。チームを束ねる浜口炎ヘッドコーチはどう感じているのだろうか。
「対戦相手を含めてこの6試合を考えるといいスタートが切れたと思います。コーチとして僕自身はリスク・マネージメントというか悪いケースを考えて6連敗もあると考えていました。そういう意味では4勝2敗というのはいいスタートだと思います。
ディフェンスは大分良くなってきたと思います。ゲームも取れてますし、一番大切なピック&ロールの守り方をどうするかという約束事をチームとして守れるようになってきたのは良かったんじゃないかと思います。これはまだまだ良くなってくると思います。
オフェンスは今日(14日のストークス戦)もそうですし千葉の1戦目(7日)もそうだったんですけど、プレッシャーをかけられた時にミスが増えますし、どうプレッシャーをリリースしていくかというのをチームで上手く機能しないと…。まだプレッシャーをコントロールすることがなかなかできていないのでそこは課題かなと思います。そこは同じメンバーで練習していけば必ず上がってくるものなので、上げていきたいと思います。
今の(チーム)状態ですとどのチームと戦っても競ることになるし、厳しいタフな試合になる可能性があるチームで、まだ安定した力が出せないかなと思います。そこはコーチの采配を含め如何に彼らのことをもっと知って、チームとしての共通理解の元にコントロールできるかがカギになってくると思います」
浜口コーチも認めている通り、まだチームとして機能しているとはいえない状態。対戦相手の実力に関わらず苦しい戦いを続けながら経験を積み重ねながら成長していくしかない。ただ強豪チームとも互角に渡り合える潜在能力の高さを秘めている。それは選手たちも同様の期待感を抱いているようだ。日本代表で活躍して経験を持つ33歳のベテラン岡田優介選手は以下のように語ってくれた。
「(14日の敗戦は)今年のチームはいけるんじゃないかと調子に乗っている部分もあったんじゃないかと思います。ただこういう風に負ける試合もあるということを肌で感じたと思う。(シーズン)60試合は長いですし、すべて勝てるチームはない。必ず負けから得るものもあると思うので、精神的にここでどう踏みとどまって残りの54試合にどう生かせるかにかかってくると思います。今日の気持ちを必ず忘れずに1人1人が来週の試合に臨めば、まだ1つ上のステージに行けるかなと思います。
チームケミストリーというかすべてが共通認識で徹底しているかといえばまだまだだと思います。チームとしての意志統一というのはまだ50%とか60%しかできていないと思うので、それをどこまで完ぺきに近づけるかというところだと思います。
ただこの6試合いいことには変わりないと思います。今日は負けてしまいましたけど4勝2敗は決して悪い成績ではないです。いろんな個性のある選手が入ってきてくれたので、いろんなバスケットができるなと思いますし、もっといろんなパターンが出せると思います。選手のそれぞれの長所を生かすようなチームとしての広がりをみせればポテンシャルは非常に高いと思います。
開幕の時から言っているんですけど、うちのチームはまだ完成度が低いと思っていて、個々の能力だけでやっているかなと…。これがしっかりチームとしてまとまった時には僕自身も非常に楽しみなチームになると思います。そこはこれからですね」
あくまで個人的な見解で恐縮ではあるが、ここまでハンナリーズの戦いを現場で取材しながら、かつて米国の地で現場取材を続けていた1994ー95年シーズンに強豪チームへと変貌していったオーランド・マジックに感じたワクワク感、高揚感にしたような感情が芽生えている。
浜口ヘッドコーチや岡田選手が標榜するチームとしてのバスケットがいつ完成するのか。今から楽しみでならない。