北朝鮮で「子どもの失踪事件」が続発…すでに17人、住民ら戦慄
北朝鮮の北東部に位置する港湾都市・清津(チョンジン)市で、子どもが失踪する事件が相次いでいる。
米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋の話として伝えたところでは、「先月だけで2件、子どもの失踪事件が起きた。何が起きたかはまったくわかっていない」という。
「臓器売買」の噂
この情報筋は、「清津で子どもの失踪事件が初めて起きたのは昨年4月のことだった。市の保安署(警察署)があの時、家庭内での殺人事件であると拙速に判断したため、このようなことが続いているとの非難が住民の間から上がっている」と話す。
北朝鮮で、少年少女が犯罪に巻き込まれているとの情報はたまに聞こえてくる。
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だが、今回の件は異様さが際立っている。RFAの別の情報筋によれば、「子どもの失踪事件は昨年6件、今年に入ってからは11件も起きていて、そのうち死体で見つかったのは14歳の少年が1人だけ」だというのだ。
事実ならばただごとではない。
北朝鮮当局の認識も同じであるようで、一連の事件は市当局の手を離れ、国家機関の捜査に委ねられたとされる。それと同時に姿を消した子どもの写真と名前が公共の場に貼り出され、先月失踪したのが6歳と3歳の男児であることが確認されたという。
RFAによれば、事件は清津市の浦港(ポハン)区域で集中的に起きているとされ、これもまた、ただごとならぬものを感じさせる。しかし、狭い範囲で発生しているにも関わらず、当局が何ら手がかりをつかめていないことに、住民の間には相当なストレスが溜まっているようだ。
また、何が起きているかわからない状況が、住民たちを限りなく不安にさせており、根拠のないあらゆる噂が飛び交っているという。その中のひとつが、「子どもたちは臓器売買組織に誘拐されたのではないか」というものだ。
同種の噂は、脱北者支援をしていた牧師の殺害事件を巡っても流れたことがあった。
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10月の失踪事件が、正恩氏が最近作らせた検閲部隊「6・20常務」による、韓流ドラマや違法薬物の一斉取り締まり期間中に起きたことも特徴的だ。当局が街中で監視の目を光らせる中で、どうして子どもだけが忽然と消えてしまうのか。
いつまでも真相を解明できないと、金正恩体制は、国民から厳しい「無能批判」を浴びかねない。
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