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モナ王で振り返る!90年代ビッグサイズブームの全貌

アイスマン福留アイスクリーム評論家
モナ王で振り返る!90年代ビッグサイズブームの全貌

どうも!アイスマン福留です!

今回は、ロッテのロングセラーとしてバニラアイスモナカ界に王者として君臨する「モナ王」を、発売された1990年代の時代背景とともにご紹介します。

ロッテ『モナ王』

ロッテの「モナ王」は、1996年に発売されたロングセラー商品。主に男子中高生をターゲットに従来のモナカアイスと比べて一回り大きい180ml(現在は160ml)で、さらに空気含有率を50%に抑えることで、ずっしりと重く、食べごたえのあるボリューム商品として市場に登場。食べごたえがあるにもかかわらず、あっさりとした味わいが特徴で、口の中でとろけるしっとり食感のモナカ皮とバニラアイスが一体感が魅力。時が経っても重要な部分は変わらない、いつの時代も懐かしさを感じる庶民的な味わいは子供からお年寄りまで幅広く好まれています。

ちなみに、意外と知られていませんが過去には同シリーズで「ソフ王」というソフトクリームタイプのアイスも販売されていました。

ビッグサイズのアイスが続々と生まれた90年代

90年代は、バブル経済の崩壊を背景にアイスクリーム業界でもコストパフォーマンスを重視する風潮が広がり、この時期に大容量のアイスクリームが数多く登場しました。

1992年、ロッテ「スイカバー」がサイズアップして「BIGスイカバー」として登場し、1994年には「明治エッセルスーパーカップ」が200ml(当時は150mlが平均的なサイズ)で発売されました。1995年にはカネボウからは「ガリバー」という名の巨大ソーダアイスバー、1996年には、森永製菓「チョコモナカデラックス」が「チョコモナカジャンボ」としてサイズアップし、新たに生まれ変わっています。1999年には、雪印が220mlの「ミルクアイスXL(エクストララージ)」を、ロッテが200mlの「爽 バニラ」をそれぞれ発売し、ビッグサイズのアイスが大流行。

「BIGスイカバー」になる前の「スイカバー」
「BIGスイカバー」になる前の「スイカバー」

90年代のビッグな波

90年代は、大きなアイスが数多く登場した時代でした。この時期、音楽業界ではヒップホップが流行し、スケータースタイルのダボっとしたルーズなビッグシルエットも人気を博しました。ブランド名が大きくプリントされたビッグロゴスタイルも流行、90年代後半にはゆるく(大きく)履きこなすルーズソックスが若者の間で一世を風靡しました。

食べ物の世界では、ヤマザキのドーム型ビッグサイズパン「スイートブール」が1994年に誕生。同じく1994年、セブン-イレブンは業界初の大型アイスクリームケースを全店舗に導入。このように、90年代は平成という新しい時代を迎え、同時にコスパ重視の大きな商品がたくさん生まれた時代でした。

そんな時代に産声を上げたビッグな存在「モナ王」。アイスクリーム業界では新商品が次々に市場に登場し、多くが消えていく中で、「モナ王」は大容量アイスの代表格として、今もなおその地位を守り続けています。

「モナ王」のパッケージデザインには、白、赤、青のトリコロールカラーが採用されています。アイスクリーム界では、この3色の組み合わせが定番の色合いとされています。特に、赤い文字で描かれた「モナ王」のロゴは、その強烈な存在感を放っています。

ロッテ モナ王
ロッテ モナ王

「モナ王」のモナカ生地は、もともと3山仕様でしたが、2007年のリニューアルにより、現在の8山仕様に変更され、より細かく小分けできるようになりました。同時に、内容量も180mlから160mlに変更されています。

ロッテ モナ王
ロッテ モナ王

CMキャラクター

商品のCMには、そのイメージに合ったキャラクターが欠かせません。そのため、ロッテは「モナ王」のCMキャラクターとして2003年に総合格闘技界から「格闘王」としてのイメージが強かったボブ・サップを、2006年には身長218センチメートルの韓国の格闘家、チェ・ホンマンなど、モナ王のイメージにぴったりな人物を起用しています。今でも記憶に残っている人もいるでしょう。私自身もボブサップデザインのモナ王パッケージは所有しており、今でも大事に保管しています。

ロッテ モナ王
ロッテ モナ王

王道のバニラモナカ

モナカ皮はアイスの水分を吸収し、しっとりとした食感。これは原料の配合に工夫を凝らし、口どけの良さを追求しているため。

バニラアイスはミルキーでモナカ皮との相性も抜群です。2022年、13年ぶりの大幅リニューアルを経て、アイスの密度を高めることでさらにアイスとモナカ皮との一体感を向上させました。これにより、より密に詰まった食感を実現。モナカ皮との相性やバニラのおいしさを追求し、無脂乳固形分を上げ、乳脂肪分を減らし、全体の味わいを調整。ライバル商品との差別化ということもありそうですが、原点に立ち返り「食べごたえがありながらあっさりとしたアイスモナカ」という本来のコンセプトに基づく商品に生まれ変わっています。

モナ王の真の魅力は、そのシンプルさです。ベーシックなバニラモナカでありながら、多くの人々が「アイスモナカ」に求める味わいと食感を実現しています。

「何でもないようなことが幸せだったと思う」という、THE 虎舞竜の「ロード」の歌詞のワンフレーズが思い起こされます。(謎)

このシンプルなのに慣れ親しんだ味わいは、まさに「王道の味」。そして「王道」という言葉はこのバニラアイス「モナ王」にぴったりです。

しっとり派の代表

パリパリのモナカが好きな人向けに森永製菓の『モナカジャンボ』シリーズがありますが、ロッテの『モナ王』は、モナカ皮のしっとりした食感が魅力。

アイスモナカの世界を大きく分けると、森永のモナカジャンボシリーズが「パリパリ派」の頂点に、ロッテのモナ王が「しっとり派」の頂点に立っています。

どちらも魅力的ですが、「昔懐かしいアイスモナカの味」を求める人々にとっては、やはりモナ王が最適でしょう。

ロッテ モナ王
ロッテ モナ王

「モナ王 バニラ」の種類別はラクトアイス規格に分類されています。2007年のリニューアルにより一時的にアイスミルク規格へとグレードアップされましたが、2022年からは再びラクトアイス規格に戻っています。その代わりに、「モナ王 冬限定濃厚バニラ」がアイスミルク規格として販売されるようになりました。

ロッテ モナ王
ロッテ モナ王

バニラアイスとモナカのシンプルな組み合わせは子供からお年寄りまで、みんな大好きな味!まさに王道の味です。

最近モナ王を食べていなかった人は久しぶりに食べてみてはいかがでしょうか。発売当初から大きく変わらない、懐かしい王道の味が楽しめますよ。

アイスクリーム評論家

年間に食べるアイスの数は1000種類以上。コンビニアイスクリーム情報サイト「コンビニアイスマニア」を運営。日本中のご当地アイスを食べ歩き、全国を制覇。2014年に一般社団法人 日本アイスマニア協会を設立し代表理事に就任。ご当地アイスが100種類以上集まるアイスクリームイベント「アイスクリーム万博(あいぱく)」を主宰。アイスクリームの業界紙でコラムを連載するほか、アイスクリームの専門家としてメディアに出演。著書:『日本懐かしアイス大全』『日本アイスクロニクル』『ご当地アイス大全』(辰巳出版)等。

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