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日本代表トンプソン ルークにとって、来月のワールドカップは「遠い」?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
顔は傷だらけ。献身的。(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 38歳にしてラグビー日本代表でプレーするトンプソン ルークが8月3日、2006年からホームグラウンドとしてきた大阪・東大阪市花園ラグビー場での代表戦(テストマッチ)に出て喜びを語った。

 ワールドカップ日本大会を今年9月に控える日本代表は、パシフィック・ネーションズカップ(PNC)2戦目をおこない、トンガ代表戦を41―7で制した。日本代表はここまで大会2連勝。トンプソンは日本代表のロックとして2戦連続の先発出場を果たした。ラインアウトとタックルで光った。

 チームでは、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが母の逝去のため試合当日朝に一時帰国。この日の指揮は、トニー・ブラウンアタックコーチが執っていた。

 身長196センチ、体重110キロのトンプソンはニュージーランドのカンタベリー出身で、2010年に日本国籍を取得。今回戦った花園ラグビー場は、現所属先の近鉄にとっては練習場でもある。献身的なプレーと関西弁を操るキャラクターでファンの支持を集め、海外出身者初となるワールドカップ4大会連続出場が期待される。

 以下、試合後の共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――花園ラグビー場でのテストマッチ。いかがでしたか。

「めっちゃ、特別。心がいっぱいね。近鉄ファンと、日本代表ファンの皆さん、凄い雰囲気でした。エモーショナルな感じで、いいメモリーになりました。ファンの方、素晴らしいね。

 花園は僕の実家みたい。毎日、(練習で)ここに来ていた。テストマッチをここでやれるのはめちゃくちゃ嬉しいし、ソールドアウト(前売り券完売)になったのも素晴らしい」

――この日、指揮官が一時離脱しました。

「ジェイミーはきょうニュージーランドに帰って…。選手は彼にいいプレー、いい結果を残したかった」

――80分フル出場しました。

「僕は自分の仕事に集中ね。試合前は何も聞いていなかったけど…しょうがないね!

ちょっとスタイルの違う試合ね。フィジー代表はオフロード、トンガ代表は大きい選手がダイレクト、ダイレクト…。きょうはセットピースが多い、ゆっくりした試合。

 私たち、ブレイクダウン(接点)は残念。クリーンアウトができなくて、ターンオーバーをいっぱいされた。トンガのキックの後、私たちタイトファイブが遅くて…。でも、ラインアウトディフェンスは素晴らしい。いい結果だったけど、(被)ターンオーバーが多い。次の試合までには治したい」

――ただ、たくさん鋭いタックルを放っていました。

「それが仕事ね。でも、ディフェンスは悪くない」

 2015年のイングランド大会時は、専門誌で読者選定のMVPに輝く活躍。2016年以降は代表引退を表明も、2017年にはジョセフのラブコールを受け期間限定のカムバックを果たす。

さらに2019年、家族の後押しも受けて自ら代表復帰を目指すことにした。PNCでテストマッチの舞台へ戻り、旧友でもあるトニー・ブラウンアタックコーチからは「替えの利かない選手」と明言された。

 それでもどうだ。本人はこの調子を崩さない。

 

――ワールドカップへの手応えは。

「ワールドカップは遠いよ、まだメンバー、わからへん。まずは自分の仕事に集中。ワールドカップ(に出場できるかどうかは)は僕の判断じゃない。まずは自分のプレーだけに集中」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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