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妄キャリ×第2期BiS×空野青空×アニソン――ARCANA PROJECTお披露目ライヴレポート

宗像明将音楽評論家
ARCANA PROJECT(撮影:チェリーマン)

2020年1月18日、表参道GROUNDでARCANA PROJECT(アルカナ・プロジェクト)のデビュー・ライヴ「ARCANA PROJECT お披露目ライブ」が開催された。

ARCANA PROJECTは、でんぱ組.incなどが所属するディアステージと、多数のアニソンをリリースするレーベルのランティスによる合同プロジェクトから誕生したグループ。今後はアニソンの歌唱と、ランティスからのメジャー・デビューが予定されている。

そのメンバーは6人。元・妄想キャリブレーションの桜野羽咲、アニソン・シンガーの相田詩音、元・第2期BiSの花宮ハナという結成当初からのメンバーに、オーディションを通じて、ソロ・アイドルの空野青空、「THEカラオケ★バトル」(テレビ東京系)の優勝者である佐々木麻衣、今回が初の活動となる天野ひかるが加わった。キャリアもバックグラウンドも異なるメンバーによるグループだ。

お披露目当日まで、ARCANA PROJECTの楽曲は一切発表されていなかった。そして、この日はまずオリジナル曲の「ACE of WANDS」を聴かせた。しっかりとした生歌だ。

ARCANA PROJECT(撮影:チェリーマン)
ARCANA PROJECT(撮影:チェリーマン)

「はじめまして、今からあなたに起こる奇跡、ARCANA PROJECTです」という挨拶とメンバーの自己紹介の後は、ソロでのアニソン・カヴァーへ。

空野青空は、フロアのファンの譲り合いをいじった後に栗林みな実の「君の中の英雄」を披露。低音からファルセットまで安定した歌声を聴かせ、間奏では「ARCANA PROJECT始動の日、みんなで声出して行きましょう!」と煽った。フロアでは推しジャン(垂直にジャンプする行為)も発生。さながらピンチケ対応型の空野青空の爆誕を経て、「ありがたきー!」とステージを去った。

桜野羽咲は、飛蘭の「mind as Judgment」を豊かな声量と雄弁なパフォーマンスとともに披露。相田詩音はMia REGINAの「蝶結びアミュレット」、佐々木麻衣は茅原実里の「境界の彼方」、天野ひかるはZaqの「カーストルーム」、花宮ハナはFhanaの「青空のラプソディ」をそれぞれ歌いあげた。花宮ハナの終盤では、他のメンバーがダンサーとしてステージに花を添えた。

続いて、Twitterで事前に募集した質問にメンバーが答えていくコーナーへ。最年少の天野ひかるについて、空野青空が「(私が)産んだばっかり」と発言するなど、彼女の前のめりな姿勢が光り、そんな空野青空を桜野羽咲が巧みにあしらっていた。

最後はもう1曲のオリジナル曲「1・2・3!」。その後に、プレ・デビューとして「0枚目」のシングルが2020年3月25日にリリースされることが発表された。

ARCANA PROJECT(撮影:チェリーマン)
ARCANA PROJECT(撮影:チェリーマン)

アンコールでは再び「1・2・3!」を披露。なお、アンコールのMCでの天野ひかるには、ファンから「かわいい」という声が湧き起こっていた。彼らが「推し」を見つけた瞬間かもしれない。花宮ハナは、東京ドームに立ちたいと宣言した。アンコールの最後は再び「ACE of WANDS」であり、この楽曲が0枚目のシングルだと明かされた。

2017年以降の空野青空の活動を見てきた身としては、「妄想キャリブレーション×第2期BiS×空野青空」というメンバー構成は面白く、さらに他のフレッシュなメンバーもいる。可能性は未知数であり楽しみだ。全員のヴォーカルのレヴェルは高い。

空野青空は、もともと引きこもりだった高校生時代に、アニソンを心の支えにして生きてきた人物だ。彼女は遂にアニソンを歌うチャンスをつかんだ。今後のARCANA PROJECTがはばたいていくことに期待したい。

ARCANA PROJECT(撮影:チェリーマン)
ARCANA PROJECT(撮影:チェリーマン)
音楽評論家

1972年、神奈川県生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。著書に『大森靖子ライブクロニクル』(2024年)、『72年間のTOKYO、鈴木慶一の記憶』(2023年)、『渡辺淳之介 アイドルをクリエイトする』(2016年)。稲葉浩志氏の著書『シアン』(2023年)では、15時間の取材による10万字インタビューを担当。

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