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日本代表候補63人の「読み方」。藤井NTDはリーグワンの改善点にも言及。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
リーグワンでブレイクし初の代表候補入りを果たした根塚(写真:つのだよしお/アフロ)

 日本ラグビーフットボール協会は9日、今年6、7月に活動する日本代表の候補選手63名を発表した。

「コロナの問題での大変な時期もやっと終わりそうになっているなか、大事なポジションで数名の怪我人も出るなどチャレンジングなテストマッチになる。ただ、そういうことはワールドカップでも想定される。今回、初めてキャップ(テストマッチ=代表戦出場)を手にする選手も出てくる可能性もありますし、選手はこれをチャンスと捉えてアピールして欲しい」

 同日、会見したのは藤井雄一郎ナショナルチームディレクター(NTD)。選考過程や各選手の選出理由、今後の活動指針などについて明かした。以下の問答は、共同会見時の一問一答の一部(編集箇所あり。選手名は敬称略)。

 まずはスコッドのリストを確認されたい。

<左プロップ>

稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・116・1990/6/2・39 ◎☆

岡部崇人(横浜キヤノンイーグルス)…180・105・1995/2/19・— ★※

クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・116・1990/10/29・6 ○□

森川由起乙(東京サントリーサンゴリアス) …180・113・1993/2/6 □

<右プロップ>

淺岡俊亮(トヨタヴェルブリッツ)…186・121・1996/6/24・— □

ヴァル アサエリ愛(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…187・115・1989/5/7・20 ◎□

垣永真之介(東京サントリーサンゴリアス)…180・115・1991/12/19・10 ○□

木津悠輔(トヨタヴェルブリッツ)…178・112・1995/12/2・3 ◎

津嘉山廉人(横浜キヤノンイーグルス)…185・105・1998/9/7・— ★※

<左右プロップ>

北川賢吾(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…178・110・1992/8/27・3 □

<フッカー>

坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…180・104・1993/6/21・27 ◎□

中村駿太(東京サントリーサンゴリアス)…176・100・1994/2/28・— ○□

橋本大吾(東芝ブレイブルーパス東京)…174・105・1994/1/28・2 ★

堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…180・104・1986/1/21・66 ◎

堀越康介(東京サントリーサンゴリアス)…175・100・1995/6/2・4 ○□

<ロック>

秋山大地(トヨタヴェルブリッツ)…192・110・1996/11/14・— □

大戸裕矢(静岡ブルーレヴズ)…187・104・1990/3/9・4 ○□

ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…195・110・1994/10/13・6 □

サウマキ アマナキ(横浜キヤノンイーグルス)…190・100・1997/3/8・— ★※

辻雄康(東京サントリーサンゴリアス)…190・113・1995/10/28・— ★※

ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)…201・117・2002/4/11・1 □

長谷川崚太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…188・100・1993/5/12・— ○□

ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモレッドハリケーンズ大阪)…188・112・1989/1/6・18 ◎□

サナイラ・ワクァ(花園近鉄ライナーズ)…202・120・1995/7/17・— ★※

<フランカー>

ベン・ガンター(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…195・120・1997/10/24・2 ○□

嶋田直人(横浜キヤノンイーグルス)…181・99・1991/5/21・― ★※

下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス)…188・105・1999/1/17・— ★※

セル ジョセ(花園近鉄ライナーズ)…197・107・1991/2/9・— ★※

古川聖人(トヨタヴェルブリッツ)…179・95・1996/12/6・2 ★

山本浩輝(東芝ブレイブルーパス東京)…187・95・1992/11/17・5 ★

ピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…189・106・1989/1/11・13 ◎□

リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)…189・113・1988/10/7・72 ◎□

<ナンバーエイト>

テビタ・タタフ(東京サントリーサンゴリアス)…183・124・1996/1/2・9 □

德永祥尭(東芝ブレイブルーパス東京)…185・100・1992/4/10・15 ◎□

姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)…187・112・1994/7/27・22 ◎□

ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…187・112・1997/1/20・2 ○□

<スクラムハーフ>

小川高廣(東芝ブレイブルーパス東京)…170・77・1991/3/18・2 ○

齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス)…165・73・1997/8/26・6 □

茂野海人(トヨタヴェルブリッツ)…170・75・1990/11/21・13 ◎□

中嶋大希(コベルコ神戸スティーラーズ)…171・80・1996/3/25・2 ★=2021年春には候補入り

流大(東京サントリーサンゴリアス)…166・75・1992/9/4・27 ◎□

<スタンドオフ>

田村優(横浜キヤノンイーグルス)…181・92・1989/1/9・68 ◎□

中尾隼太(東芝ブレイブルーパス東京)…176・86・1995/1/20・— ★※

山沢拓也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…176・84・1994/9/21・3 ○

李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)…176・85・2001/1/13・— ★※

<センター>

梶村祐介(横浜キヤノンイーグルス)…181・95・1995/9/13・1 ○□

シェーン・ゲイツ(NTTコミュニケーションズシャイニンズアークス東京ベイ浦安)…183・95・1992/9/27・1 ○□

立川理道(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…180・93・1989/12/2・55 ○

テアウパ シオネ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…183・97・1992/7/9・3 ○

ラファエレ ティモシー(コベルコ神戸スティーラーズ)…186・96・1991/8/19・27 ◎□

中野将伍(東京サントリーサンゴリアス)…186・98・1997/6/11・2 □

ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…187・102・1997/5/2・4 □

<ウイング>

髙橋汰地(トヨタヴェルブリッツ)…180・91・1996/6/24・― □

竹山晃暉(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…175・84・1996/9/25・― ★※

ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)…177・95・1994/4/12・― □

ゲラード・ファンデンヒーファー(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…192・102・1989/4/13・― □

シオサイア・フィフィタ(花園近鉄ライナーズ)…187・105・1998/12/20・6 □

根塚洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…173・82・1998/9/15・― ★※

アタアタ・モエアキオラ(コベルコ神戸スティーラーズ)…186・108・1996/2/6・4 ◎

山下楽平(コベルコ神戸スティーラーズ)…175・85・1992/1/30・— ★※

<フルバック>

尾﨑晟也(東京サントリーサンゴリアス)…175・85・1995/7/11・3 □

野口竜司(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…177・83・1995/7/15・13 ○□

山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)…188・98・1988/6/22・22 ◎□

◎=2019年ワールドカップ日本大会出場選手(下記○の該当者含む)

○=2019年までのジェイミー・ジョセフ体制下の代表関連活動、および2017~19年のサンウルブズ(国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦。ちなみに2016年は現体制発足前)に参加経験(練習生を含む)がある選手。

□=2021年春、秋いすれか(もしくは両方)の代表ツアーに参加した選手

★=ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ就任後の代表関連活動(前述のサンウルブズ含む)への参加経験がない選手

※=代表候補初選出

 主将経験のあるリーチ マイケル、姫野和樹をはじめとする常連組に加え、齋藤直人、ディラン・ライリーといった2021年デビュー組が順当に加わったほか、現在進行中の国内リーグワンでブレイクした根塚洸雅ら、計12名が初の候補入りを果たした。

 一方、昨秋副将の中村亮土など、選出が期待されながらリストアップされなかった名前もある。その背景については、指揮官のジェイミー・ジョセフヘッドコーチが談話を発表。下記の10名を「コンディション調整により選考対象外」だとした。

<フッカー>

庭井祐輔(横浜キヤノンイーグルス)…174・95・1991/10/22・9 ○□

<右プロップ>

具智元(コベルコ神戸スティーラーズ)…183・118・1994/7/20・18 ◎□

<ロック>

小瀧尚弘(コベルコ神戸スティーラーズ)…194・114・1992/6/13・11 ○□

ジェームス・ムーア(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス浦安東京ベイ)…195・110・1993/6/11・13 ◎□

<フランカー>

福井翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・101・1999/9/28・— □

<スタンドオフ>

松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…181・92・1994/5/3・29 ◎□

小倉順平(横浜キヤノンイーグルス)…172・80・1992/7/11・4 ○

<センター>

中村亮土(東京サントリーサンゴリアス)…181・92・1991/6/3・30 ◎□

<ウイング、フルバック>

松島幸太朗(クレルモン)…178・88・1993/2/26・44 ◎□

セミシ・マシレワ(花園近鉄ライナーズ)…184・93・1992/6/9・2 ○□

 本稿ではまず、選考の基準や過程、個々の選出理由についての問答を紹介する。

 日本代表の基本的なポリシーや思想は、本欄でも2021年4月頃にまとめられている。

 現在は当時と比べ、経験者の知見を有望株に涵養する向きが強まったような。他方、求める人物像は当時と変わらず。いかなる場合でもプレーの一貫性を保てる「タフさ」を前提に、スペースへキック、パスを配するラグビーに適応できる技術と反応速度が肝となる。

――ジョセフさんは「(日本代表の)プレースタイルを補完する能力と姿勢」を評価基準にしたと伝えています。

「(プレーが)安定しているか、ハイボール(が捕球できるか)、ゲームプランで相手のやったことに反応できるか、こういうルールのなかでディフェンスができるか、ジャッカルができるか、クリーンアウトができるか…。僕らのラグビーのベース(に必要な)スキルを持っているかどうか、もしくは練習すればできるかどうかが重要なことで。足が速くでトライは取るけど、ハイボール取れない、ディフェンスでルールを守れない…では(選びにくい)。その選手が、(代表が求めるプレーの基準値を)上げられるかどうかということ、プラス、本人の持っている能力がチームにマッチするかは重要なこと」

――では、今度の63名について。

「どの選手が、どこのレベルまでいけるのかを見極める。ワールドカップでも怪我が出る想定もあるので、できるだけ幅広く選手を見てみたい。

 目に留まった選手、リーグワンの全試合で安定してパフォーマンスが出せた選手、チーム事情や外国人の兼ね合いで試合に出られないなか、こちらが見てみたいという選手を選んでいます」

――63名のなかには、故障中の選手もいます。

「リハビリも含め、代表のほうで預かれる選手は預かる。どれくらいで治るのかも見極めながら。(今回のスコッドに入った選手は、後述の合宿に)できるだけ参加できるようにします」

――いま上記に名前がない選手がこれから代表入りするのは、ハードルが高いか。

「ここに名前があった選手は以前から(水面下で候補に)入っていた。(それ以外の選手は)相当なことがないと、ここに食い込んでくるのは大変かなと思います。ただ、もちろん100パーセント(難しいというわけ)ではないです」

――特に注目したいポジションは。

「スタンドオフ。堀江以外のフッカー。あとはポジション云々ではなく、新しく入ったで選手がどれくらいできるか見たい」

――リーグワン・ディビジョン1の選手が多い。同ディビジョン2以下の選手は選ばれにくくなるのか。

「スーパーラグビー(国際リーグ)に参戦できないいま、1シーズンをディビジョン1でやるのと2、3でやるのとでは全く違う。どうしてもディビジョン1に(選考が)偏ると思います。特にトップ4の精度、クオリティは(それ以下と)全く違う。(ディビジョン2から選んだ選手は)外国人(海外出身者)ばっかり、日本人はそこでどれだけできるかは…。外国人は同じようにトレーニングすれば(日本人と比べて)上がってくるスピードが違うので」

――大学生は対象外だったのか。

「(リーグワンの)ディビジョン1~3で(試合中の圧力に)かなりの差が出るんです。大学のなかには将来よくなる選手はいると思うんですけど、(普段戦う舞台のレベルを考えると)いきなりそこ(テストマッチ)に来てやるのは難しいかなと思います」

――ここからは個別の選手について。まず、リーグワンでの活躍を受けて選出した選手は。

「中尾、李、根塚、竹山もよかった。テストマッチのようなハイプレッシャーのなかでどれくらいできるかを見てみたいです」

――ウイングの根塚選手、竹山選手について。

「スピードがある。日本人特有の動きをするので――アタックに関しては――外国人にとっては脅威やと思います。あとは、ハイボール、ディフェンスで安定してプレーできるかどうか。それをテストマッチで、本当に出せるかどうか(が肝)」

――サンゴリアスの若手フォワードについて。

「下川は非常にクレバーで、攻守ともに将来性がある。辻もタフな選手で、テストマッチでどれくらいできるかが見たい」

――インサイドバックスでは日本大会組である中村亮選手と松田選手が離脱。2015年のワールドカップイングランド大会で次世代のリーダー候補と謳われた元主将の立川選手が、2018年春以来の復帰を果たしました。

「中村亮の場合はシーズンを通してコンディションがよくなくて。おそらく次のテストマッチ、もちろんワールドカップ(フランス大会)には間に合ってもらいたい(ので今回は選ばなかった)。

 そのなかでいろんなセンターを見ていると、立川は経験がある。もちろん次のワールドカップを狙えるのなら狙ってもらいたいですし、彼自身がチームにとってプラスになることを若い選手に教えられる。その両方の意味で――中村亮が外れることもあって――経験のある選手を入れておきたいなと」

――復活と言えば、山沢選手が注目されます

「(スタンドオフの序列で)上から順番にいくと、山沢が近いところにいた。(これまでも)よくなかったわけではない。ほかの選手が(それ以上に)よかっただけで。中尾はリーグワンでのパフォーマンスがよかった。この2人は『(現時点での主力候補の)その次の選手』になると思う。これをチャンスと思って掴んでもらいたいと思います」

――堀江選手は、8強入りしたワールドカップ日本大会以来の復帰となります。

「彼は別格なんで、もう。スーパー特別扱いです」

――本人から合流したいと聞いていたのか。

「そういう話もあって、もちろんジェイミーもずっと(動向を)気にしていましたし、リーグワンでも文句なしに入ってこられる選手。そういう意味で選んでいます」

――選考されなかった選手について。長らく右プロップのレギュラーだった具智元選手は。

「試合ができる状態ではないということです」

――日本大会組では中島イシレリ選手、アマナキ・レレイ・マフィ選手、ロマノ レメキ ラヴァ選手が入っていません。

「漏れたってことです」

――代表資格を得られなかったために招集できなかった海外出身選手はいましたか。

「たくさんいます。(リーグワンの出場規定)カテゴリーA(日本代表資格があると見られていた枠)となっていて、日本代表になれない選手が何人かいるんですよんね。そういう選手は、カテゴリーDにしてほしいなって」

――なぜそんな現象が起きているのですか。

「アジア枠(※)の救済措置で、(当該選手が)日本人(カテゴリーA)で出られるようになっているんです。だからチャーリー・ローレンス(トヨタヴェルブリッツのセンター)はカテゴリーAになっているんですが、(連続居住年数が満たないため)代表にはなれない。

 だから、名前、変えて欲しいなと。でないと、全部、(カテゴリーAの選手の経歴を)調べなあかんのです。で、調べてだめだった、みたいな。帰化したからといって、日本代表になれるわけじゃない。ちゃんと5年の連続居住を果たしていないとだめなんです」

※トップリーグ時代にあった、アジア圏の国籍を持つ選手用の出場枠。外国人枠とは別で1名、出場できた。

――昨春の代表合宿を怪我で離脱したマーク・アボット選手は、リーグワンでカテゴリーB(代表資格取得前)の扱いになっていました。

「去年までは(代表資格を得るまでの連続居住年数が)3年だった。彼は、3年だったら『いけた』んです。(その後、テストマッチデビューがないまま条件が「3年」から「5年」に変わり)『いけない』。来年の春になったら、『いけます』」

――代表資格にはほかに「当該国に通算10年以上の居住」というものがあります。幼少期に日本に住んでいたことのあるジェイコブ・ピアス選手はいかがでしょうか。

「いまんとこ、無理です。(フランス大会への道のりも)ものすごく難しいです、それは」

 今回は下記のスケジュールが組まれる。

■合宿

5月14~15日 日本代表候補テスティングキャンプ(大分) ※一部選手除く

5月23~27 日 日本代表候補スキル&コンディショニングキャンプ(大分) …一部選手除く

6月3~30日 日本代表合宿(宮崎)

6月3~27日(予定) ナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)合宿(大分)

7月3~9日 日本代表合宿(都内)

※日本代表合宿、NDS 合宿それぞれの参加予定メンバーは 5 月 31 日公表予定

■試合

6月11日 EMERGING BLOSSOMS×TONGA SAMURAI XV(東京・秩父宮ラグビー場)

6月18日 ウルグアイ代表戦(秩父宮)

6月25日 ウルグアイ代表戦(福岡・ミクニワールドスタジアム北九州)

7月2日 フランス代表戦(愛知・豊田スタジアム)

7月9日 フランス代表戦(東京・国立競技場)

 その他にも試合を調整中のようで、2023年のフランスワールドカップに向けて集団としての底力をつけたそうだ。

 合宿期間の焦点は6月上旬以降の日程。主力格にあたる日本代表と予備軍格にあたるNDSがふたてにわかれるのが決まっている。振り分けの基準、目安をひもとけば、現在のナショナルチームにおける序列も可視化されそうだが…。

――候補選手の日本代表、NDSへの振り分けの基準、タイミング、人数配分などについては。

「NDSという名前自体が、若手みたいな感じに聞こえると思うんですけど、そうではなくて…。『次のW杯に向けて』という意味も含めている。コンディションを見てみたい選手も、(代表に入れるか)ぎりぎりの選手も(NDSに)入ってくる可能性もあります。『次の(レギュラー候補)』っていうところ。(フランス大会への当落線上の)ぎりぎりの選手がそこにいる、ということだと思います。

(日本代表とNDSは)大体、頭のなかではふたつにわかれてはいますけど、まだ(リーグワンの)プレーオフもあってまたけが人が出るかもしれないなか、はっきりとわけることはできない。

 おそらく、(両者は)半分ずつくらいになるんじゃないかと思います。例えば、(試合の)3日前に(NDSから日本代表に)合流という可能性もあります。ウルグアイ代表戦はミックスになるので。同時にスタートする。トンガとの1戦目のまでは20数名が(NDS側に)入ると思うんですけど、ボリュームが多いのは代表のほうになると思います」

――NDSは、誰が指揮されるのでしょうか。

「今後、発表されると思いますが、日本でコーチをしている人。最初の2試合(ウルグアイ代表戦との2連戦のことか)までは、基本、私もこっち(NDS)に付くと思います。それで、ジェイミーは代表のほうにいる。連携をとる」

――NDS勢単体での試合は。

「初戦のトンガ(親善試合)は丸々NDSで、その次(ウルグアイ代表戦)はちょっとミックスになって、ふたつめのウルグアイ代表戦からは、フル代表になっていくと思います。それと、2戦目のウルグアイ代表戦の前後に、韓国代表と(NDS勢によるチームで)できればなと。それは向こうからの打診と、こっちの要望で。

(予定は)もうそろそろわかると思います。(発表に時間がかかっている理由は)コロナの関係です」

 話の要点を探れば、現時点での主力組と予備軍の振り分けは済んでいるということか。実際にキャンプを始まる前にふるいをかけるのだとしたら、当面は日本大会、2021年のツアーに参加した経験者(上記の◎、□に該当する選手)が代表側の軸となるのだろうか。

 以下は、その他の各日程などについて触れる。

――14,15日のテスティングキャンプ。ジョセフヘッドコーチは来るのか。

「一応、近々でニュージーランドから帰ってくる予定ですけど、向こうで(出国前に)PCRテストがある。それが合格しないとだめ。無事に(日本に)帰ってこられたら『この日に帰ってくる』と言おうかなと思っていました。(この2日間は)フィットネステストなので。ラグビーのコーチングをするわけじゃない。メディカルとS&Cに任せると思います」

――23~27日の日本代表候補スキル&コンディショニングキャンプは。

「プレーオフのセミファイナル、ファイナルに出る選手は参加していない。どの選手が来るかも、決まっていない。そこから、(首脳陣は)顔は出しに行く、と思います」

――今回のツアーの主将は。

「まだ決まってないです」

――ちなみに今後、海外へ単独でツアーへ出かける予定等はないのか。

「9月くらいに予定というか、希望は出していて、3~4試合、ウルフパックみたいな形でスーパーラグビーのチームとできるように頑張って動いているところです。

 そこは(日本)代表で行くかもしれない。試合数が少ないので。あんまり次の事ばっかりも考えられない。ワールドカップも近いですし。そこはジェイミーの仕事ではない。基本的には次のワールドカップでどう勝つか(が最重要課題)。

 もし怪我人が出たために(大一番で)スタンドオフの中尾や山沢が(試合に)出るとして、その選手たちが(事前に)どれだけの経験を積めるか。その、(試合をする)場を与えないといけない。

 ただそれは、若い選手だけでそこ(海外遠征)へ行ってボロ負けして帰ってきても、そういう(意味のある)経験ができるわけではない。例えば堀江のような経験のある選手と過ごすごとで、安定(当該選手の成長)につながっていく。そのように(ベテランと若手を)ミックスしながら、『彼らをいかに速く成長させるか』を考えながらやると思います」

 フランス大会登録メンバーの予備軍となりうる選手のうち、誰が既存の主力候補と歩みをひとつにできるか。テストマッチの勝敗とは別に、注視されたい。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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