Yahoo!ニュース

キャンプブームはなぜ起こる?20年後に来る次のブームまでは「キャンプ再スタート」のチャンス!

いわもととしたつキャンプクリエイター/アウトドアライター
2019年孫太郎オートキャンプ場にて/土日で稼働率8割程度

ここ最近では「キャンプブーム終焉」が取りざたされており、実際にフィールドに行ってもそこまで混雑していないことも多くなっています。

2013年頃からコロナ禍にかけて起こったアウトドアブームは「第二次キャンプブーム」と言われており、アウトドア業界にとっては激動の期間でした。

そもそもなぜキャンプブームが起こるのか、次の第三次キャンプブームはいつ来るのか、どんなスタイルになっているのかを独自の視点で考察してみたいと思います。

なお、これらの考察はあくまでも個人的な見解です。今後どうなっていくのか、どうなったらいいかなど想像を膨らませる一助になればと思います。

キャンプはブームから「カルチャー」へ

大型幕は第二次キャンプブームの象徴。ロッジ型テントの復刻などのレトロブームも
大型幕は第二次キャンプブームの象徴。ロッジ型テントの復刻などのレトロブームも

第二次キャンプブームの間は、高規格キャンプ場が至る所に開発され、2ルームテントや時短ギアなど快適性を向上するアイテムが登場。サブスクなどのサービスもスタートするなど、キャンパーにとっては本当に面白い時期だったと思います。

落ち着いた今だからこそ声を大にして言いたいのが、キャンプはブームを経て「カルチャー」になったという事。長い成長期間が終わり、これからはコアなファンを中心とした文化圏が形成されていくことになるでしょう。

カルチャーって?と思うかもしれませんが、イメージとしてはバブル崩壊後に盛り上がったガーデニングや、更に昔では1970年代のサーフィンブームあたりが参考になります。新規参入が減っても、好きで続けている人々の上に「カルチャー」として確立されていくことになるのです。

「カルチャー」を更に押し上げる次のブーム

左:ベランダでも出来る小規模なガーデニング /右:新規参入の間口が広がったSUP【写真:写真AC】
左:ベランダでも出来る小規模なガーデニング /右:新規参入の間口が広がったSUP【写真:写真AC】

カルチャーとなったコンテンツは、次のブームが来ることで次のステップへ進みます。上で挙げた例で言えば、ガーデニングはおうち時間が増えたコロナ禍にブームが再燃、サーフィンは派生した楽しみ方を含めて次のブームに繋がっています。

こういった流れを見ると、第三次キャンプブームの可能性はある、と考えてもいいでしょう。なお、コロナ禍が第三次キャンプブームだったと見る方もいらっしゃいますが、一連のトレンドを見ると第二次キャンプブームの延長とみるのが私としては自然だと考えます。

そもそもなぜキャンプブームが起こるのか

イギリスから取り寄せたSTARBELL TENT/日本より先に大型化・快適化の波が来ている
イギリスから取り寄せたSTARBELL TENT/日本より先に大型化・快適化の波が来ている

当然様々な要素が絡み合ってキャンプブームが起こっているのですが、私として指摘したいのが「技術革新の次にある」ということです。

レジャーの側面をもつ近代キャンプが始まったのは、イギリスの産業革命以降と言われています。蒸気機関の導入により工場生産が主流となり、人々の間で余暇が増えたこと、そして自然との距離が離れたことが、キャンプというレジャーを生み出したのではないかと考えています。

キャンプブームは「技術革新」の揺り戻し

「日常の喧騒を離れ、大自然でゆっくりする」というのは不変の楽しみ方【写真:写真AC】
「日常の喧騒を離れ、大自然でゆっくりする」というのは不変の楽しみ方【写真:写真AC】

1990年代にあった日本の第一次キャンプブームについても、バブル景気を経て生活に余裕が出た上に、情報社会が進んでいく中、精神的な癒しを求めて山や川、海に繰り出したのが始まりです。

第二次キャンプブームについては、都市部に人口が集中していく事によって自然との距離が生まれ、その揺り戻しで大自然に繰り出す、という風に考えられます。また、第一次キャンプブームを過ごした世代が親になったというのも要因として言われています。

第三次キャンプブームは起こるか

ポップアップやエアフレームでも十分快適なテントも出始めている(写真はDOD「キノコテント」)
ポップアップやエアフレームでも十分快適なテントも出始めている(写真はDOD「キノコテント」)

あくまで個人的な見解ではありますが、ブームは「起こる」と見て間違いないでしょう。タイミングとしては、2045年ごろに予想されている、人工知能が人類の知能を上回るとされている「シンギュラリティ」。イギリスの産業革命クラスのインパクトがあるとも言われています。

そうなると、我々の仕事が人工知能に任せられるようになって余暇が増える事、そして人工知能が身近になる事による自然回帰が考えられます。構造はイギリスで近代キャンプが始まった時に似ていますね。

基本的には今のキャンプスタイルと変わらないと思いますが、キャンプで電気を使うのは当たり前になっていたり、テントはほとんどワンタッチになっているのかもしれません。今よりも更に、快適で便利な方向へ進んでいくような気がします。

とにかく今の雰囲気を楽しんで

人気キャンプ場も空いている時があって非常に良きです
人気キャンプ場も空いている時があって非常に良きです

第二次キャンプブームが落ち着き、カルチャーとしてライフスタイルに根付いている「今」の雰囲気は、我々キャンパーとしては心地いい時間です。新規参入が減る事でキャンプ場の予約が取りやすくなったり、在庫でダブついたギアや中古ギアを安く買えたり、恩恵が多いように思えます。

半面、ブームが始まるとギアの性能が飛躍的に向上したり、サービスの選択肢が増えるというメリットもあるので、適度なブームのサイクルが望ましいですね。

いずれにしても、次のブームまではこのゆったりした時間は続きそうです。好きで続けている方はもちろん楽しめますが、ブームの中で離れてしまったという方もリスタートしてみるというのもおススメです。

キャンプクリエイター/アウトドアライター

『子どもを育む場としての「キャンプ」こそ持続可能な社会の第一歩』をテーマに、子どもはもちろん大人の環境意識やサバイバル知識を高めるために日夜活動。実体験を通したキャンプの知識や雑学、マニアならではの考察についてお届けしていきます。

いわもととしたつの最近の記事