Yahoo!ニュース

11日の株価急落でも日銀はETFの買入を実施せず、これも金融政策の正常化に向けた布石か

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 11日の東京株式市場は大幅に下落し、日経平均は一時1100円を超える下落となった。日経平均は4日に初の4万円台に乗せた。これでいったん目標達成感も出たとみられ、そこに日銀の早期の正常化観測による円高も加わっての大幅な下落となった。

 11日午前の東京株式市場では東証株価指数(TOPIX)の前週末比下落率が2%を上回った。これを受けて、市場では日銀がETFを買い入れるのではないかとの観測が出ていた。

 日銀は2021年4月以降、TOPIXの下げ幅が2%を超えた際には、機械的にETFを買い入れており今回の見送りは異例とされた。

 今月18、19日の日銀の金融政策決定会合で、日銀は重い腰を上げて、非常時対応とされる異次元緩和策から、通常の金融緩和策へと修正、つまり金融政策の正常化を行うと予想されている。

 それに関する報道も相次ぐなど、観測というより、それを見据えて日銀は準備段階に入ったとみて良いかと思われる。今回、ETFの買入を行わなかったのも、それを見据えた動きとみて良いのではなかろうか。

 そうであれば尚更、19日の正常化決定の可能性は強まることとなろう。2000年のゼロ金利を解除しようとした7月に、そごうの経営破綻が生じて延期をせざるを得なかったように、何かしらのアクシデントが起きない限り、19日での正常化決定の流れとなっているのではなかろうか。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事