備えあれば憂いなし?!電池無しで聞こえるラジオを作ろう!
災害などの緊急時は情報を得たいものですが、停電が発生してテレビが利用できないケースがあります。近年はスマホが頼もしい存在ですが、停電が長びいてしまうと、やがてバッテリーは尽きてしまいます。
こうした非常時にも比較的強いのが昔ながらのラジオ。シンプルな製品なら乾電池のみで数十時間~数百時間も利用することができます。さらに手回し式の発電機や太陽電池を備えた製品なら電池切れの心配は無く、一家に一台は備えておきたいものです。
このように考えを巡らせていると、電池も要らない「ゲルマニウムラジオ」の存在を思い出しました。中高年者なら、子供の頃に工作で作った記憶があるかもしれません。
今回は、ネットで気軽に入手できる、シャンテック電子の「K-002 ゲルマニウムラジオ基本キット」(税込み690円/送料別)を購入し、実際に組み立ててラジオ受信を試みました。
たったコレだけでAMラジオが聞こえる!
キットに含まれているのは、ゲルマニウムダイオード、選局用ダイヤル、イヤホン、アンテナコイル製作用線の4点。近年のデジタル機器に慣れた世代なら、最少、たったこれだけの部品でラジオを聞くことができるのは新鮮な発見かもしれません。
(キットに外部アンテナは付属していません。)
簡単に原理を説明すると、ラジオ局のアンテナから発せられた電波(電力)の力だけで、イヤホンを鳴らします。
電池を使うラジオに比べて受信感度は劣るので、電波の発信地と出力(空中線電力)および聴取者との距離によって、聞くことができる局や音量は限定されます。しかし、NHKは各地域で比較的大出力で送出しているので、聴取できるチャンスは多いはずです。
試してみた!
実際に試してみました。筆者の自宅は大阪市内のマンション(1階)で、AM各放送局の送信設備まで約10km程度といったところ。
キット単体(外部アンテナ無し)の状態では全くNGでしたが、アンテナコイル部分を窓枠のアルミサッシ部分(アンテナとして機能)に近づけると、NHK大阪第2(空中線電力300kW)の音声が、小音量ながら明瞭に聞こえてきました。さらに、アンテナとダイヤルを調整すると、蚊の鳴くような小さい音ながら、NHK大阪第1(空中線電力100kW)も聴取できました。
日常的に利用するラジオとしては使い勝手の面でも音量の面でもおすすめできませんが、別途きちんと設計された大きめのアンテナを用意したり、設置場所や向きなどを事前に確認しておけば、非常用ラジオとして役立ちそうです。
(送信設備に近いなど、電波が強い地域では、外部アンテナ無しでも受信できます)
さいごに
「K-002 ゲルマニウムラジオ基本キット」の組み立ては簡単ですが、お住まいの地域の電波状況も含め、完全に動作するかどうかは分かりません。また、受信感度の向上には別途きちんと設計されたアンテナの用意が望ましく、電波に関する基礎知識も必要です。
結論として、万人に非常用ラジオとしてお勧めできませんが、基礎が理解できれば、常識が通用しない非常時に、きっと何かの役に立つことでしょう。また、基本に立ち返ると、現在の電力に頼った生活やデジタル化が如何に複雑で脆弱なものかも、認識できるはずです。
皆様も、「ゲルマニウムラジオ」を体感して、防災への備え、電力やデジタル化など、いろいろ考えを巡らせてみてはいかがでしょうか?