対米83%、対中18%…日本が抱く周辺主要国への親近感
対米親近感83%、対欧州67%、対韓41%、対中18%
国家同士の関係の良し悪しは政府同士の意志もさることながら、当事各国の国民全体の感情意識も多分に影響を与える。代議士は国民の代表であり、そしてそれら代議士などで内閣は構成され、その内閣に指揮される形で行政機関は各行行為を実施するからである。
日本国内における他国への親近感を確認する調査は複数見られるが、内閣府ではほぼ毎年、諸外国(ほぼ毎年対象となる国と、時々対象となる国がある)に対する親近感を調査する結果を実施している。直近2013年における親近感を尋ねた結果は次の通り。
なお赤系統色の回答部分は「(どちらかというと)親しみを感じない」を意味するが、これは回答者の心境的に「親しみの対象にならない」(無関心的な部分。「分からない」とは異なる)と「憎悪の対象となる」の2通りに解釈できる。つまり赤系統の回答率が多い国・地域に対し、日本国民は「憎んでいる」「嫌い」との解釈には必ずしもたどり着かないことに注意してほしい。
アメリカへの親近感の高さがまずは目に留まる。親しみを覚えない人は2割足らずで、今回提示された国などではもっとも少ない。これは元々同国との間には親密な関係が継続されていたのに加え、「対米89%、好感度もうなぎ昇り…対外国・震災対策評価をグラフ化してみる」(米民間調査会社Pew Reserch Centerの調査結果の解説記事)など複数の調査結果で明らかにされている通り、2011年3月の東日本大地震・震災における「オペレーション・トモダチ」をはじめとした、同国による大規模な救援活動の実態を見聞き、あるいは実際に支援を受けた結果によるところが大きい。
次いでヨーロッパ諸国と大洋州諸国が並ぶ。両者とも「感じる」「感じない」の配分はほぼ同じで、似たような度合いの親近感を抱いていることが分かる。あるいは「あまり悪いイメージは持たないし受けた話も聞かない。それなりに良い付き合いをしているのでは」という「何となく、良い隣人」的な印象なのかもしれない。
他方、ロシアや中国など、(元)共産圏諸国との親近感は概して薄い。中でも昨今何かと独善的な動きを示す中国は、主要諸外国の間では親近感を持たれる率がもっとも低い。「親しみを感じない」という強い非親近感(上記にある通り「拒絶感」と同意ではない)の項目では他の国を抜きんでて45.1%という高率を示しているのも印象的であり、同時に現在の対中感情を如実に表している感はある。
ロシアと比べて「親しみを感じる」派で大きくリードしている韓国が、なぜか「親しみを感じない」でもロシアを抜いている。韓国に対する親近感は多分に、そして極端に「ある」「なし」で二分されていることがうかがえる。
経年変化で見る主要国への好感度推移
これら親近感の度合いのうち、「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」を合わせた値を「好感度」と位置づけ、主要5か国の推移を見たのが次のグラフ。
アメリカへの好感度は押し並べて高く、直近ではさらに上昇する傾向にある。一方中国は全体的に右下がりで、この30年ほどの間に1/2から1/3ほどまでに減少している。それぞれの国の対外戦略の一端が見えてくるようでもある。
ロシアは10%強を低空飛行したまま。1990年前後に一時的に盛り上がりを見せたが、すぐに急降下。2000年前後からは再び上昇しているが、これはプーチン政権の発足と対日融和政策によるところが大きいる。さらに2012年以降は再び大きく上昇を見せているのが興味深い。ロシアの大統領選挙が2012年3月に実施され、ウラジミール・プーチン氏が当選したことが影響しているのだろう。
韓国は上昇中だが、ここ数年韓国は頭打ちの動きを見せ、2011年から2012年にかけて大幅な下落を記録している。下落という点では近しい中国と合わせ、中国は尖閣諸島と反日暴動、韓国は竹島、そして中韓双方とも強圧的・理不尽的な外交姿勢・対日経済施策が大きく影響しているものと考えれば道理は通る。直近2013年では大きく下落した去年から状況の改善はほとんどなされず、低い値が継続しているのが分かる。
今件はあくまでも不特定多数の母体による世論調査の結果であり、それがそのまま日本国全体としての各国へ向けた好感度、さらには政策につながるわけではない。一方で冒頭でも触れた通り、主要国への印象を推し量るという視点では、十分に役立つ値ではある。恐らくは多くの人が納得できる値に違いない。
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