欧米中銀は中立的な金融政策を確保か
13日のFOMC後の会見で、パウエル議長は、インフレは失業率の大幅な上昇を伴うことなく緩和してきたとの認識を示し、追加利上げについては可能性を排除したくないとした一方、もはやFRBの基本シナリオではないともコメントした。
14日のECB理事会後の会見で、ラガルド総裁は、利下げについては全く議論しなかったと述べた。当局者は油断すべきでないと戒め、利下げが近いとの投資家の期待は時期尚早かもしれないと示唆した。
14日のイングランド銀行のMPC後の会見で、ベイリー総裁は、まだ向かうべき道があり、インフレを2%に戻すために必要な決定をし続けるとのコメントし、拙速な利下げに慎重な姿勢を強調した。
そして、15日にニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、2024年3月に利下げする可能性について問われると「考えることすら時期尚早だ」との認識を示し、市場の早期利下げ観測をけん制した。
また、アトランタ連銀のボスティック総裁は15日、物価上昇率の伸びが鈍れば「2024年7~9月のどこか」で利下げを開始する可能性があると述べた。
ボスティック総裁の発言はやはり利下げはあるとの認識を強めたというより、市場では早期の利下げ観測まで出ていたことで、ウィリアムズ総裁の発言を含め、少なくとも4月あたりからの利下げはないとの見方が強まったようである。
FRB、ECB、イングランド銀行ともに今後の利上げの可能性は排除はしないが、当面は物価動向などの様子をみるため、金融政策の変更は行わない姿勢を示したように思われる。中立的な状態に置いて、状況次第で機動的な対応を取る姿勢か。これが本来の金融政策の姿勢であり、それを現在のところ放棄しているのが日本銀行といえる。