どこに行けば男性との出会いがあるのか見当さえつきません(「スナック大宮」問答集32)
「スナック大宮」と称する読者交流飲み会を東京・西荻窪、愛知・蒲郡などで毎月開催している。2011年の初秋から始めて、すでに110回を超えた。お客さん(読者)の主要層は30代40代の独身男女。毎回20人前後を迎えて一緒に楽しく飲んでいる。本連載「中年の星屑たち」を読んでくれている人も多く、賛否の意見を直接聞けておしゃべりできるのが嬉しい。
初対面の緊張がほぐれて酔いが回ると、仕事や人間関係について突っ込んだ話になることが多い。現代の日本社会を生きている社会人の肌からにじみ出たような生々しい質問もある。口下手な筆者は飲みの席で即答することはできない。この場でゆっくり考えて回答したい。
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「そろそろ結婚したいと考えています。でも、どこへ行けば良き男性との出会いがあるのか見当さえつきません」(40代前半の独身女性)
すべての人に適した「出会いの場」など存在しない。情報収集をし、行動すべし
スナック大宮は筆者の読者交流会であり婚活パーティーではない。しかし、参加者の大半は独身者であり、婚活中の男女も多い。この場で知り合いになった人たちが別の機会に飲みに行き、恋愛に発展することもある。婚約に至ったカップルは筆者が把握しているだけで3組。のべ2200人以上が参加しているので決して確率は高くないが、「出会いの場」として使うことも可能なのだろう。
婚活の様々な現場を観察していて感じるのは、どんな場を活用すべきなのかは人によって違いがあることだ。逆に言えば、すべての人に適した場などは存在しない。スナック大宮を含めて、サークル活動やスクールなどの「ゆるい出会いの場」でパートナー候補の相手を見つけられる人には特徴がある。好みのタイプが明確であり、合致しそうな異性が現れた場合は恥ずかしがらずに連絡先を聞き、デートをし、告白までに持ち込める人だ。
冒頭のつぶやきを聞かせてくれた女性は、最近まで仕事に打ち込み続け、恋愛からは遠ざかっていた。コミュニケーション能力は高いが、結婚への焦りもあって自分をやや見失っているように感じた。自分を知らずして適切なパートナー候補を見つけることなどできない。おそらく結婚情報サービスや婚活アプリを使っても結果は同じだろう。出会いはたくさんあったとしても、その中から本当のご縁を見出して育てられなければ意味がない。
このような人に必要なのは、出会いの数ではなく、相性のいいコーチだ。親身になって相談に乗ってくれる友人や先輩かもしれないし、結婚相談所のカウンセラーでもいい。異性に好感を持ってもらえる服装から振る舞いまでをちゃんとアドバイスしてくれて、悩んだときには客観的な意見を言ってくれる人。彼らの力を借りて、自分の長所と短所を知り、まだ見ぬパートナー候補との対面に備えるのだ。
後日談。この女性はある結婚相談所に入会した。週末ごとにお見合いをしているらしい。会ってみて驚いたのは、彼女がいい意味で「女性らしく」なっていたこと。明るく柔らかい雰囲気だった。不自然ではなく、彼女が本来持っている女性性のようなものが引き出されているように感じた。お見合いを何度か経験し、結婚相談所からの助言も生かして、大きく成長したのだろう。
繰り返しになるが、すべての人に適した出会いの場など存在しない。「出会いがない」などとぼやく時間があったら、情報を収集し、自分に合った場を探すべきだ。それには素直さと行動力が必要であり、この2要素は幸せな結婚生活の必須条件にも通じている。