キス以上できると思える人でないと結婚はできません(「スナック大宮」問答集30)
「スナック大宮」と称する読者交流飲み会を東京・西荻窪、愛知・蒲郡、大阪・天満のいずれかで毎月開催している。2011年の初秋から始めて、すでに110回を超えた。お客さん(読者)の主要層は30代40代の独身男女。毎回20人前後を迎えて一緒に楽しく飲んでいる。本連載「中年の星屑たち」を読んでくれている人も多く、賛否の意見を直接に聞けておしゃべりできるのが嬉しい。
初対面の緊張がほぐれて酔いが回ると、仕事や人間関係について突っ込んだ話になることが多い。現代の日本社会を生きている社会人の肌からにじみ出たような生々しい質問もある。口下手な筆者は飲みの席で即答することはできない。この場でゆっくり考えて回答したい。
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「生理的にOKな男性とはたくさん出会えます。でも、キス以上ができると思える人とでないと結婚を前提としたお付き合いはできません」(36歳の独身女性)
まずは一緒に食事をする。いろんな話をする。キスやセックスはその先でいい
筆者は42歳。周囲にはアラフォーの独身男女が多い。結婚願望がある人からは「いい人がいたらぜひ紹介してください」と頼まれて、あれこれと動き回ることも少なくない。しかし、別シリーズである「お見合いおじさん活動月報」でも報告している通り、勝率(成婚率)は限りなく低い。結婚どころか交際に至るケースも希少だ。
自らのマッチングセンスのなさは棚に上げて、筆者は当事者たちに強めのアドバイスをすることがある。「結婚しろとは言わないけれど、生理的に無理でなければ何度かデートしてください。できれば交際してみてほしい。ぶっちゃけ話、体の相性というものもあるから。何もしないよりは、何かをして失敗するほうがマシ!」といったものだ。耳を傾けてくれる人はほとんどいない。
そのうちの一人から冒頭のような反論をもらった。「生理的」という言葉の定義が違うだけな気もするが、キスもできない人と一緒に寝ることはできないのは確かだ。
ただし、時間をかけてジワジワと好きになっていくことはありうる。まずは一緒に食事をする。いろんな話をする。日帰り旅行をしてもいい。そのうちに仕事や生活上での悩み事を打ち明けることもあるだろう。親身になって聞いてくれれば感謝とともに尊敬の念が高まったりする。いろんなことを共有していれば相手の意外な美点に気づくはずだ。それから手をつないでみる。嫌じゃない、かもしれない。ドキドキ感はなくても安心感があったりもする。キスやセックスはその先でいい。
恋愛感情だけで結婚するのは危険。DVや借金に巻き込まれるケースも
逆に、衝動的な恋愛感情だけを重視すると、「性的には魅力的だけど共同生活には向いていない人」にひっかかる恐れが増大する。DVや借金に巻き込まれることも少なくない。あなたがもし直感力に優れていたら20代のうちに結婚していたはずだ。自分のアンテナは少し壊れている、ぐらいの認識を持っておいたほうがいいだろう。
まとめると、ポイントは2つある。1つは、信用できそうな人で生理的に無理でなければ「とりあえず付き合ってみる」こと。むしろ女性のほうから積極的にアプローチしよう。フラれて傷つくのは勲章だ。決して無駄ではない。何もせずに時間が過ぎていくことだけを恐れよう。
もう1つのポイントは、さきほど述べたように「時間を味方につける」こと。最初からキスしたいと思えなくていい。話していて不快でなければ一緒にいる。そのうちに心が近づいていき、結果的に体を合わせることができるケースもある。
最後にもうひとつ。初対面では冴えない外見に見える男性でも、パートナーの助言に従って服装や髪形を変えれば男らしくてカッコよくなることは少なくない。自信がつき堂々としてくる。そこから惚れることもできるのだ。中長期的な投資をするつもりで男性と向き合ってほしい。