金利上昇で潤うメガバンクと含み損が膨らむ地銀
5大銀行グループの2023年4~9月期決算が14日、出そろった。合計の連結純利益は前年同期比56%増の1兆9960億円と2005年度に3メガバンク体制になってから最高となった(14日付日本経済新聞)。
利益を押し上げたのは調達金利と貸出金利の差である利ざやの改善となり、特に海外の金利上昇の恩恵が大きかった模様。
ただし、3メガバンク平均の国内大企業向け貸出金利ざやは約0.56%とマイナス金利政策の導入後で最大となった。今後は日銀によるマイナス金利解除の可能性もなくはないため、短期金利が上昇すればさらなる収益拡大が予想される。
国債利回りの上昇は、債券の含み損を拡大させることで、収益悪化の要因ともなるが、大手銀行は金利上昇への備えを進めていたことで、それによる影響はさほど大きくはなかったようである。
日本国債の保有者に占める海外投資家の割合が3月末に初めて邦銀を上回ったことが財務省の集計で分かったと15日に日経新聞が報じていた。海外勢が日本国債の保有額を増やす一方、メガバンクを主体とする邦銀は国債残高を縮小させていた。
ただし、主に日本国債で運用する地銀については債券含み損による影響が大きく、全国の地方銀行が保有する国内債券や外国債券、投資信託などの含み損が増え、地銀97行の含み損は2023年9月末時点で約2.8兆円と6月末から7割増えていた(15日付日本経済新聞)。