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なぜ、iPhoneには32GBのモデルがないのか?マジックナンバー「3」の秘密

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

今年登場したiPhone 6とiPhone 6 Plusは容量別に16GB・64GB・128GBとそれぞれ3モデルが登場しましたが、32GBモデルがないことを不思議に思った方もいるんじゃないでしょうか。16GBモデルはアプリや動画を入れるとすぐにいっぱいになるし、32GBからスタートしてもおかしくなかったはずです。

しかしアナリストのNeil Cybartさんの報告によると、これは購入者をミドルプライスモデル(64GB)に移行させるための戦略なんだそうです。32GBが最安モデルならみんなそれを買ってしまうけど、16GBが最安なら100ドル(約1万2,000円)高い64GBを選択する人もそれなりに出てくるだろう…というわけなんだそうです。

また消費者がミドルプライスモデルを買うようになると、iPhone1台あたりの平均販売単価が上がることになります。これよって、アップルは16GBをなくした場合よりもさらに30億ドル(約3,600億円)もの利益を来年あげることができるだろうと予測しています。

出典:どうしてiPhone 6では16GBモデルが残ったの?

これはまさに、日本の「松竹梅マーケティング」そのもの

日本では昔から、商品やサービスの価格を、「松・竹・梅」の3クラスにわけてきた。

なぜそれをやるのかというと、ミドルプライスの「竹」が一番売れるからだ。

特にレストランなどでは、ランチタイムには「梅」かもしれないが、ディナーでは圧倒的に「竹」となる。

iPhoneも「6」シリーズから、16GB・64GB・128GBというラインナップになった。

3つのラインナップだから選びやすいく、比較検討しやすいのだ。それでも、一番売れている32GBが欲しい人は仕方なく64GBにせざるをえない。絶対に半分の容量の16GBにいくことはない。

Apple買うなら最上位モデルの残存リセールバリュー買い!

Appleの iPhoneの場合はAndroidと違って、リセール・バリューの価値が高いので、容量の差は、2年以内の下取りならば、ほぼ差額は下取り価格で反映されるので、最大の容量の最上位を購入するべきだろう。現在ならば、当然、128GBにすべきだ。オークション出品でも確実に落札されやすくなる。ただしあなたが、2年以内に買い替えしていくユーザーであればの場合だ。

アップルのマーケティングにおけるマジックナンバーは「3」

iPhoneシリーズも 「6Plus」「6」「5S」と3つのラインナップだ。

カラーバリエーションも 「シルバー」「ゴールド」「スペースグレイ」と3種類だ。

4つ以上のラインナップがあると、結局、人間は「機能の差」「自分が使っているイメージ」がしにくくなる。

シンプルなマーケティングで考えると、当然「3」というマジックナンバーの選択肢を意識せざるをえなくなる。

2つのチョイスでは、イチかバチかの究極の選択だが、3つのチョイスであれば、一番妥当なものを選んだ気さえするからだ。最悪のチョイスは少なくとも避けることができたような気になる。それが3つの選択肢の利点だ。

ペンタックスのK-rのカラーバリエーションは、ボディが12色、グリップが10色なので合計120スタイルあった。

これは悩むばかりで、差異も使っているイメージもしにくい。

Apple WATCHの「モデルチェンジ」は1年後にすべきだった

AppleのApple Watchの選択枝の多さは、発売一年後の「機能のブレイクスルー」と「ファッションブレイクスルー」を交互にやるべきだったと思う。

2サイズ×6材質×6バンドのバリエーションで、72スタイルもある。

3サイズ ×3材質 ×3バンド の27スタイルでよかったのでは? 翌年度に6材質×6バンド「モデルチェンジ」にすれば新たににバンドだけでも買い換えたいという需要も生まれたのに…。あ、Apple Watchまだ発売になってませんでしたね。今からでもバンドだけは3種類にすべきだろう。

72スタイルから選択できるAppleWATCH
72スタイルから選択できるAppleWATCH

GMシボレーが「モデルチェンジ」を発明した

今から約100年前、1920年代中版、初の量産型のフォード社のモデルT型の販売実績を、やぶったのはGM社のシボレーだった。その手法は、親会社デュポン社の塗料技術によるカラーバリエーションによる「モデルチェンジ」であった。黒1色の重厚感あるブランドを大切にしすぎたフォードはカラフルなシボレーに差を開けられる。

その後、一年毎に変化する自動車業界における「モデルチェンジ」マーケティングは1970年まで、毎年繰り返されたというから驚愕である。それと共に、「自動車ローン」という金融販売手法や「下取り」というリセールバリューも発明された。

クルマを発明したことよりも、次の世代はクルマを使う人の環境を発明していかなければならない。

Appleの生み出したパーソナルコンピュータ、iPod、iTunes Store、iPhone、iPad、Apple TV、iTunes Match、Apple WATCH…続々と製品のラインナップは増えるが、100年前の「ローン」や「下取り」に変わるような「モデルチェンジモデル」をAppleは、まだ何も発明していない。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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