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10億人が利用するメッセンジャーアプリ「WhatsApp」ブラックベリーとシンビアン対応を終了

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

世界中で10億人以上が利用しているメッセンジャーアプリWhatsAppは2016年2月26日、BlackBerryやSymbianの対応とサポートを2016年末で終了することを発表した。世界中のスマートフォンのOSはAndroidとiOSとWindowsで99.5%を占めることから、他のOSへの対応は行わない。

今回、WhatsAppがサポートを中止したのは以下のOS。

・BlackBerry, including BlackBerry 10

・Nokia S40

・Nokia Symbian S60

・Android 2.1 and Android 2.2

・Windows Phone 7.1

2009年から提供されているWhatsApp

日本ではメッセンジャーアプリといえば、LINEかFacebookメッセンジャーであるから、WhatsAppは知名度も低く、利用者も少ないがWhatsAppは世界中で利用されている。

WhatsAppはメッセンジャーアプリとして2009年からサービスを提供していた。そしてFacebookが2014年2月に買収することを発表し、2014年10月に総額218億ドルで買収が完了した。ネパールのGDPよりも高い買収額で話題になった。発表当時のWhatsApp利用者は4億5,000万人だったから、2年間で2倍以上に利用者が増加している。広告も表示されないから使い勝手もよく人気がある。WhatsAppは1年目は無料で2年目以降は0.99ドルかかるというビジネスモデルだったが、実際には2年目以降もお金を払わずに使っている人が多く、2016年1月にはもう費用を徴収しない、つまり完全無料化にした。

WhatsApp拡大に貢献してきたBlackBerryやSymbian

世界中でこれだけ多くの人に利用されているWhatsAppだが、ここまで利用者が増加したのも、2009年からサービスを提供していたことが大きい。当時はまだiPhoneやAndroidの利用者は限られていた。iPhoneが販売されたのが2007年で、Androidが2008年だった。当時はBlackBerryやノキアから提供されているS40のフィーチャーフォンや、SymbianのS60を搭載したノキアの携帯電話の人気が高く、世界中で多くの人に利用されていた。2009年に提供を開始したWhatsAppはこれらBlackBerryやSymbianに対応していたことから、多くの人に利用され始めた。

WhatsAppがサービス提供開始した2009年当時はまだ現在のように多くのメッセンジャーアプリがなかったこと、SMS(ショートメッセージ)と違って「1通につきいくら」という料金を気にせずに利用できることから人気が出た。今でこそ、多くのメッセンジャーが登場して、ネットに接続していればメッセージも音声通話も無料だが、当時は画期的なサービスだった。その後も多くのメッセンジャーアプリが世界中で登場したが、収益があげられずに撤退しているところも多いが、WhatsAppは収益は上がっていないが、世界中で10億人の利用者を抱えるまでに成長している。

またBlackBerryにはBBM(BlackBerry Messenger)というものがあったが、BlackBerryを所有していない人は利用できないことから、BlackBerry利用者も「誰とでもメッセージのやり取りができるWhatsApp」を好んで利用した。

現在では新興国でも地場のメーカーから廉価なAndroidのスマートフォンが登場しているが、それでもまだノキアS40の利用者がおり、彼らはそれでWhatsAppを利用している。

その後も人々は自分が利用している携帯電話をBlackBerryやノキアS40からiPhoneやAndroidに変えてもWhatsAppを利用し、世界中で利用者を拡大している。

そしてWhatsAppが拡大してきた要因ともなったBlackBerryやSymbian向けの対応を2016年末をもって終了することを明らかにした。時代が1つ終わろうとしている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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