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【沼津市】ペット防災について学ぶ ” 鍛えよう! 「飼い主力」と「防災力」” 沼津市立図書館で開催

NumaLens地域ニュースサイト号外NETライター(沼津市)

災害時のペットとの避難生活や、日頃の備えについて考える講演会、”鍛えよう! 「飼い主力」と「防災力」”が、2024年10月19日に沼津市民文化センターで開催されました。地域の動物愛好家を中心に、ペットの災害対策について学ぶ場となりました。

講師を務めたのは、NPO法人アナイスの理事長、平井潤子さんです。平井さんは、2000年に発災した三宅島噴火災害以降、日本各地で発生した自然災害の被災地において、人と動物への支援の視点から、様々な活動や調査を行ってきました。動物防災に関する国(環境省)や、地方自治体のガイドライン作成、広域支援訓練などにも携わっています。

講演の冒頭では、今年元旦に発災した能登半島地震について情報提供がありました。地震から津波、火災と複合した被害に加え、夏には水害も発生し、現地の方たちは心が砕かれる想いをされているとのお話がありました。また観光業への支援策により、避難者がホテルから再び一次避難所に戻ったり、遠方からの支援者も、高額な宿泊料金を負担することになったなど、あまり知られていない課題も指摘されました。トレーラーハウスによるペットの避難施設も、ほとんど活用されなかったとのことで、理由は施設を利用する準備が、飼い主側に十分備わっていなかったことも一因だったようです。

続いて、平井さんの豊富な支援活動から得られた、貴重な教訓が共有されました。災害時におけるペットへの対応は、事前に検討されていないことも多く、事前に「ルールを決めておくこと」と、「そのルールを知っておくこと」の大切さが強調されました。また本講演のタイトルにもなっている「飼い主力」については、家族とペットを連れて、事前に安全な場所にあるペンションに避難した家族や、離島からペットを飛行機に乗せ、到着先の知り合いに預けたという実例も紹介されました。他には、マイクロチップの重要性についても語られました。

今回の平井さんのお話はペット防災がテーマでしたが、講演全体を通じて、防災力を高める上でのポイントは、ペットに限らず、人にも共通すると感じられました。ペットにとって安全な家は、人にとっても安全な家であることや、まずは自分の工夫で自らの安全を守る、次に仲間同士が協力し合う、最後に公的支援を活用するという考え方は、誰もが理解すべきものと感じられます。また、日本では災害時の支援が厚い反面、依存心の高い飼い主が、飼育放棄に向かってしまうケースもあるようです。さらに災害時のニーズは時間と共に変化するものであり、直接的な支援から、自立を促す支援へと変わっていくことが、まち全体の復興支援にとっても大切だという平井さんのお話は、大切な教訓となりました。

講演会が行われた沼津市立図書館
沼津市三枚橋町9番1号

地域ニュースサイト号外NETライター(沼津市)

静岡県沼津市に住んで30年。沼津市のまちづくり、ひとづくりに関するイベント、季節の行事などを追いかけています。2024年7月より地域ニュースサイト号外NETライター沼津市担当。

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