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NY原油10日:米在庫増加観測、ドル高で約2週間ぶりの安値更新

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油4月限 前日比1.71ドル安

始値 50.08ドル

高値 50.36ドル

安値 48.20ドル

終値 48.29ドル

需給面に特段の新規材料は見当たらないが、改めて供給過剰状態に関心が集まる中、急落した。ブレント原油先物相場も約1ヶ月ぶりの安値を更新している。

明日は米エネルギー情報局(EIA)の週間統計が発表されるが、米国内の需給緩和状態が再確認されるとの見方が、原油相場の上値を強力に圧迫している。原油在庫の市場予想は前週比+475万バレルとなっており、過剰供給体制が維持されているとの警戒感が、少なくとも原油相場の本格反発は難しいとの見方に直結している。本日は為替相場が大きくドル高方向に振れたこともあり、序盤から戻り売り優勢の展開となり、2月26日以来の安値を更新している。

クウェートの石油輸出国機構(OPEC)フェザイア代表は、下期の需要回復で原油相場の40ドル割れは回避されるため、6月総会で生産目標を変更する必要はないとの見方を示した。また、原油市場に対する影響力の強いカタールのアティーヤ元エネルギー相も、OPECはもはや需給調整役ではなく、次回総会で生産目標が変更されることはないとの見方を示している。特にサプライズ感はないが、OPECサイドから需給引き締めの動きが強まる可能性は低いとの見方も、上値圧迫要因に。

手掛かり難からボックス気味の相場展開が続いているが、今なお強力な需給緩和圧力が報告されている中、反発力は限定されよう。需給バランスの歪み是正の動きが強くなっていることは間違いないが、この時期から原油相場が反発してしまうと、需給均衡化をもたらすのに十分な生産調整が進まず、今後の反発力が限定されてしまうことになる。中長期的にはボトム圏に近づいているのは間違いないが、短期スパンでは依然として戻り売り対応の方に魅力を感じる。

なお、引け後にはAPIの週間需給統計が発表されたが、原油在庫は前週比-40.4万バレルと予想外の減少になっている。クッシング地区の原油在庫は+220万バレルが報告されているが、EIAの統計でもAPI統計と動揺に在庫減少が報告されると、瞬間的な買い圧力が強まるリスクがある。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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