ホロコーストデザインのマスク「政府に無条件に従っているとどうなるか考えて欲しい」ネット大炎上で撤退
新型コロナウィルス感染拡大に伴って、世界中の人たちがマスクを着用するようになっている。日本でも一般的な薬局などで販売されているマスクだけでなく、ファッションブランドやスポーツメーカーなどもオリジナルのデザインマスクを販売しているが、世界でもそのようなデザインマスクが販売されている。そんな中、ホロコースト時にユダヤ人らが差別、迫害された写真をデザインにしたマスクが販売されており、欧米やイスラエルではネットが大炎上している。
マスクを販売しているサイトは「holocaustfacemasks.com」でタイトルも「ホロコースト・フェイスマスク」で、デザインもガス室で殺害された後の焼却場、収容所に到着したユダヤ人、大量虐殺、迫害と強烈なインパクトがある。但し、あまりにもネットが炎上しクレームが殺到したために、2020年7月31日時点では、もうホロコーストマスクは削除され、掲載されていない。
「疑いもせずに政策に従ってしまうとどうなってしまうかを考えて欲しかった」
ナチスドイツが第2次世界大戦中に約600万人のユダヤ人、ロマ、政治犯らを殺害した、いわゆるホロコースト。反ユダヤ主義が今でも根強く残っている欧米ではホロコーストをテーマにしたネタはタブーであり、ホロコーストを揶揄するような風刺画や、黄色い星やナチスのマークなどをマーケティング目的で表現されると、いつもネットでは批判され炎上する。あえて炎上商法を狙ってホロコーストをテーマにしたデザインなどを採用して、注目を集める手法もあるが、大炎上の末、世界中のユダヤ関連の団体、人権団体などからの公式の抗議が相次ぎ、販売を中止したり、関係者が謝罪することがほとんどだ。
このサイトではホロコーストデザインのマスクが展示されていた時には、サイトに「様々なデザインのホロコースト関連のマスクの中から好きなデザインを選んで、当局に疑問を投げかけよう!我々の目的は、意味のない秩序やルールを押し付けられると、何百万人もの人々にどのようなことが起きるか?ということを知ってもらうことです。これらのホロコーストのデザインは、独裁政治を無視し無条件に従ってしまうと、どういうことが起きるのかを思い出させるために作りました」とホロコーストデザインのマスクを商品化した目的を掲げていた。またマスクのデザイン作成の意図について「このようなデザインが不適切とは思っていません。ホロコーストを想起してもらうことによって、二度とホロコーストのような悲劇が起こらないことを目的として作成しました。現在の人々は、自分の頭でしっかり考えることを諦めてしまいます。そのような現代の人たちに、疑うことなく当局の指示やルールに従うと、どういうことになってしまうのかを考えてみて欲しかった」とコメントしている。
ホロコーストに例えられることが多いコロナ対策の政策
現在、欧米でも新型コロナウィルス感染拡大の防止のために政府や自治体が外出自粛、ロックダウン、マスク着用を義務付けているところが多い。新型コロナウィルス感染拡大防止のための政策によって、自由な移動や生活ができなくなった状況は欧米では、よくホロコースト時代のユダヤ人への政策や彼らの生活に例えられることが多い。自由に外出できない外出自粛やロックダウンはナチスドイツからの迫害を逃れるために隠れ家に潜んでいたアンネ・フランクに例えられることが多い。またマスク着用の義務化は、ホロコースト時代にユダヤ人を差別するためにユダヤ人であることを示す「黄色い星」を着用させられたことに例えられることが多い。ホロコースト生存者たちは、現在の新型コロナウィルス感染拡大での状況とホロコースト時代は全く違うと訴えている。
そしてこのホロコーストデザインのマスクが掲載されるとネットはいつものように大炎上した。米国ユダヤ人議会 (American Jewish Congress)のジャック・ローゼン議長は「このようなデザインのマスクが作られること自体がショックです。ホロコーストの犠牲になったユダヤ人、生存者、その家族ら全てに対して物凄く失礼です」と抗議していた。英国ホロコースト教育委員のチーフ・エグゼクティブのカレン・ポロック氏は「これらのマスクはホロコーストという悲惨な歴史的な事実を矮小化しております。子供や女性、老人を含む罪のない600万人以上のユダヤ人が殺害されたホロコーストをデザインにしたマスクを見たら、現在まだ健在でいらっしゃるホロコーストを経験した生存者らはどのような想いをするのでしょうか?そういうことを考えて欲しいです。個人的にはこの会社のマスク作成の意図は理解できませんし、非常に不適切なデザインです」と語っていた。