読書量 減ってる話もあるけれど その原因は 一体何かな?
昨今良く見聞きされる「読書離れ」。読書量が減少しているとの話だが、とらえ方で色々と解釈は違ってくる。例えば図書館の貸出件数は増えており、電子書籍は急速に広まりつつある。文章を読み連ねるという広義の観点では、人が「文を読む」行為に飽きたようには見えない。それでは紙媒体の書籍などにおける読書に限れば、どのような変化をしているのか、またその変化の原因はなんだろうか。文化庁が2014年9月に発表した「国語に関する世論調査の結果」から確認していくことにする。
次に示すのは「読書量は以前と比べてどのような変化を示しているか」との問いへの回答。電子書籍は含まず、また紙媒体でも雑誌や漫画は該当しない。文庫本などによる書籍や、専門誌などが当てはまる。要は読書量そのものに明らかな変化が生じたことを思い起こせるほどであればその旨、そうでなければ変わらないとの判断を示すことになる。
多少ながらも「増えている」派が減り、「減っている」派が増加、つまり読書量そのものは全体として減少傾向に加速がついたように見える。「変わらない」派も増加しているがいずれもごくわずかなもので、誤差の範ちゅう。いずれにせよ、少なくともこの5年の間では、読書量が減少傾向にあることに違いはない。増加したと判断した人は1割にも満たないのだから。
それではなぜ読書量が減ったのだろうか。減ったと回答した人に、思い当たる理由を複数回答で聞いた結果が次のグラフ。
最多理由は「仕事や勉強が忙しくて読む時間が無い」で5割強、次いで「視力など健康上の理由」で1/3強。読書が趣味趣向の区分にあることが多い実態を考えると、趣味の時間に割く時間が無く、読書にも手が出せない状況は、昔も今も変わらないということになる。また、健康上の理由で読書量を減らさねばならない人も少なくない。
本離れ、読書離れが語られる際に、インターネット関連以外では良く理由として挙げられる「テレビの方が魅力的」「本の魅力が減った」「近所に本屋や図書館が無い」との意見では、テレビ以外は少数派。影響の一端には違いないが、大きな要素では無い。また「テレビの方が魅力的」との回答率が結構な割合で減っている点にも注目したい。
多くの項目が経年変化を示さない中で、「情報機器で時間が取られる」の項目が大きく増加している。この情報機器とは具体的には従来型携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、パソコン、ゲーム機などを指し、その利用方法は特に問わない。つまりウェブブラウジングやソーシャルメディアへのアクセス、ゲームの利用、さらには電子書籍の購読すらも含まれている。
これらの利用に時間を取られ、紙媒体の読書量が減ったとする回答が大きく増加する流れは、大いに理解納得が出来る。そしてその流れは今後も加速するに違いない。
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