小中学生のチャレンジ精神の実情をさぐる(2019年公開版)
難しいことでも失敗を恐れずに挑戦する意欲を小中学生はどの程度持ち合わせているのだろうか。文部科学省が2019年7月に発表した全国学力・学習状況調査(※)の結果を基に確認する。
次に示すのは具体的な事例は挙げずに自分の行動性向について「難しいことでも失敗を恐れずに挑戦するか」との問いに当てはまる度合いを答えてもらった結果。小学生では「当てはまる」と「どちらかといえば当てはまる」を合わせ8割近くが挑戦すると答えている。一方で中学生は7割程度に留まっている。
小学生よりも中学生の方が挑戦するとの値が低いのは、中学生の方が世の中の広く深いことを知り、物事を考えるようになり、結果としてより慎重な姿勢を示すようになるからだろうか。
この設問に関して経年変化を見たのが次のグラフ。肯定意見の「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」の合算値の推移を見ている。
ややぶれがあるものの、小中学生ともにチャレンジ精神は少しずつ増加しているように見える。特に中学生は2009年度から2019年度の間に8.2%ポイントも増えているのが印象的。
難しいこと、失敗しそうなことでも挑戦し、成功すれば当然嬉しさを覚えることになる。難しいことに限らないが、物事を最後までしっかりとやり遂げて、嬉しかった経験があれば、挑戦意欲も高まる。そのような嬉しい経験があるか否かを尋ねた結果が次のグラフ。
肯定意見の「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」の合算値は小中ともにさほど大きな変化は無い(あえて言えば中学生が少しだけ増加しているように見える)。他方、強い肯定となる「当てはまる」の意見に限れば、小中学生ともに増加の動きを示している。成功体験は行動の活発化につながることを考えれば、チャレンジ精神の育成との観点ではよい傾向に違いない。
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※全国学力・学習状況調査
2019年4月18日に国公立および私立の小中学校に対し悉皆調査方式(標本調査ではなく全体を調べる)で行われたもので、実施学校数は小学校が1万9455校、中学校が9550校。国語A・Bと算数(数学)A・B、英語から成る教科調査(学力テスト)に加え、生活一般の実情を問う質問紙調査が行われている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。