台風から温帯低気圧に変わると予報円が出なくなるのは本当に良いのでしょうか?
台風13号は、きのう8日午前3時に東海沖で温帯低気圧に変わりました。しかし、その後も北上を続け、東北などで大雨に。温帯低気圧に変わった時点で予報円が出なくなるのは、油断のもとになっていないでしょうか。
温帯低気圧に変わっても危険
台風は、熱帯・亜熱帯の空気でできた低気圧の渦です。
台風が北上するにつれて、北からの涼しい空気も入り込んだ渦になると温帯低気圧に変わります。温帯低気圧に変わっても、勢力は変わらないこともありますし、再発達して強まることもあります。
また、温帯低気圧に変わると、雨雲は強い台風の時のような円形ではなくなりますが、もともとは台風ですから、亜熱帯の空気でできた激しい雨を降らせる雨雲は残ります。
パタッと消える進路予想図
今回の13号もそうでしたが、台風が温帯低気圧に変わった際はたいてい、「構造が変わっただけで、強い風や大雨のおそれは引き続きあるので警戒を」などと解説します。気象庁の台風に関するレクチャーなどでも、そういった説明がされます。
にもかかわらず、台風が温帯低気圧に変わると、進路予想図がパタッと出なくなります。図の印象から受ける「トーンダウン感」は否めません。
「構造が変わっただけで危険なことには違いありません」と言いながら、気象庁から出される情報は違っているのが現状です。
防災情報への接触を減らさないために
温帯低気圧に変わって具体的にどうなるのか、解説者がいれば加えることができますが、今はネットで図だけの情報を見て判断する人も大勢います。
台風の進路予想図は、アクセス数などから見ても、接触する人が非常に多い情報です。それがパタッとなくなると、まだ荒天のおそれが残る中、情報に接触する人を減らすことになります。
温帯低気圧に変わる場合、まだ台風のうちは翌日や翌々日の温帯低気圧の位置や強さを予報円として出しているわけですから、温帯低気圧に変わったあとも、せめて日本付近を抜けるまでは、予報円を出し続けて良いのではないでしょうか。