【館山市】ケルトの森をテーマにした銅版画作品展。一枚の絵から広がる、心温まる物語を聞いてみませんか
8年振りに館山で開かれている、銅版画家・イラストレーター林陽子さんの作品展「mystic land」。8年前と同じ、「コミュニティガーデンLeaf & Root」内に建つ八角形のログハウスで、12月22日まで開催されています。
初日に行われたオープニングライブの様子を交えつつ、林さんの作品や会場の様子をお伝えします。
銅版画家・イラストレーターの林陽子さん
まずは林さんのプロフィールを、林さんのwebサイトから引用して紹介します。
今回の作品展「mystic land(神秘的な土地)」も、森やそこに息づく生き物たちの世界が、深みのある色合いで表現されています。ログハウス特有の木の壁に飾られた一つ一つの物語を、薪ストーブの炎の揺らめきと温かい空気の中で、ゆっくりと鑑賞できる場所。窓に目をやると、ハーブガーデンの向こうには青い海が。
「コミュニティガーデンLeaf & Root」のオーナーは、館山ふるさと大使であり、フルート奏者の深津純子(すみこ)さんです。
ここは作品の世界観にもぴったりの場所だと思うのですが、銀座や金沢で個展を開いているという林さんが、なぜ館山で作品展を行うことになったのでしょうか?
林さん「純子さんは、オーケストラの先輩だったんです。小学校の部活の、OBやOG活動の先輩でした」
意外な答えに驚きましたが、フルート奏者の深津さんは、オーケストラでヴァイオリンを演奏していた林さんの、憧れの先輩だったそうです。林さんが個展をすれば深津さんが訪れ、深津さんがライブをすれば林さんが訪れながら、交流が続いていました。
そのつながりで、2016年に「コミュニティガーデンLeaf & Root」で個展を開き、今回2回目となる個展を開催することになりました。
画家と音楽家の即興ライブ
この記事のトップ写真に使った絵は、雪が降る森の中で、いてついた氷の家に暮らす2匹のオコジョの様子です。絵にはオコジョしか登場人物は見当たりませんが、林さんが語るこの絵のストーリーには、小さな王様や妖精、鳥たちも登場します。一枚の絵の背景にある物語を聞き、即興で音を奏でる深津さん。
この日深津さんが選んだ木製のフルートから流れる音が、木製のログハウスの中に響き渡り、描かれている森の中へと誘われます。ハーブティーを飲みながら聞き入る人や、動画を撮りながら見守る人たち。たった一枚の絵から、たくさんのイメージが頭に浮かび、ライブのあと再び絵を見ると、最初に見たときとはまた違った目線になりました。
残念ながら、このライブは初日のみの開催でしたが、22日には地元のピアニストをゲストに招いて、投げ銭クリスマスコンサートを14時から開催するそうです。DMの展示期間は12月21日になっていますが、22日も絵は展示してあるとのこと。
また、林さんは期間中在廊しているので、気になる絵があったらぜひその物語について聞いてみてください。
ここでしか見られない、周辺環境と会場と絵のコラボ
銅版画家からも「どうやってやっているの?」と、技法について聞かれることがあるというくらい、いろいろな技法を取り入れて独自の世界観を表現されている林さん。経験や想いを込めて作品にしているのかと思いきや、作品に「感情を乗せたくないと思ってつくっています」という返事が帰ってきました。
ヨーロッパ北方の世界であるケルトのイメージで作品をつくっているので、冬に合っているという林さんに、記事を読んでくれた人へのメッセージをお願いしました。
林さん「ログハウスという環境で展示する機会は、ここぐらいでしかない。森と海にかこまれた自然豊かな場所で、窓の向こうにすぐ海が見えるような、自然と一体感があるなかで作品を見に来てくれたらうれしいです。お待ちしています」
どこかの何かに出会える森の扉を開けに、ぜひいらしてくださいね。