増加傾向の小中学生のテレビゲーム時間、学力テストとの関係は?
「ゲームは1日1時間」と言われているが
子供達にとって魅力的な娯楽の一つが、スマートフォンや家庭用ゲーム機などによるテレビゲーム。その利用時間と、学力テストとの「相関」関係の実情を、文部科学省が2021年8月に発表した「全国学力・学習状況調査」(※)の最新版の公開値から確認する。
今調査の生活様式部分の結果によると、平日にテレビゲーム(パソコンや据置・携帯ゲーム機、従来型携帯電話、スマートフォンによるもの)を1時間以上遊ぶ人の割合は、直近の2021年度では小学生で75.9%、中学生で79.8%。この比率は年々増加する傾向にあり、記録が確認できる2008年度以降では小学生は2013年度、中学生は2014年度で初めて過半数に達することとなった。直近年度では前回年度比で小中学生ともに増加している。
1日1時間以上遊ぶ人の割合、平均プレー時間ともに漸増する傾向にある。中でも2014年度は小学生と中学生の順位が逆転している点でも注目に値する。今調査の調査項目には存在しないので断定はできないが、他の調査の結果などから勘案するに、スマートフォンの普及に伴い利用者・利用時間が大きく底上げされたものと考えられる。
ちなみに「まったくしない」人の割合は、平均時間や1時間以上する人の割合で大きな変化が見られた2014年度以降、ほぼ横ばいに転じていた。しかし直近年度では大きな減少が生じている。今や平日にテレビゲームをしない小中学生は1割にも満たない。
無論今件はあくまでも平日での話で、「まったくしない」人すべてがゲームそのものと無縁ではない。平日は禁止されているが土日には許可をもらえる事例もあるのだろう。
因果関係ではないが、ゲーム時間が長い人は試験の正答率が低い
ゲームにかかわる技術進化や関連機器の普及のような環境の変化とともに、ゲームで遊ぶ時間が長くなる、遊ぶ人が増えるのは世の中の流れであり、押しとどめることは難しい。しかしそれとともに保護者の立場にある人の多くは「遊び過ぎて勉強しないのでは」と気にすることだろう。その不安をさらに強いものとしてしまいかねない結果が、今調査では確認されている。
次に示すのは、平日にテレビゲームをする時間区分別に、学力テストの平均正答率を示したもの。グラフタイトルにもある通り、あくまでも相関関係を示したものだが、非常にきれいな形で「長く遊んでいる子供ほど、正答率が低くなる」結果が出ている。
朝食関連の話でよく話題に上る「朝食をしっかりと食べるとテストの成績がよくなる」ではなく「朝食をしっかりと食べるような、規則正しい生活をしている子供は、必然的に勉強にも規則的に取り組むようになるので、テストではよい成績を取る傾向が出る」のように、今件もまた、あくまでも相関関係を表したにすぎず、因果関係を証明したわけではない(真面目さやスケジュール感覚といった交絡因子が勉強への注力やその成果による成績のよし悪しと、ゲームをする時間の双方に作用しているものと考えられる)。つまり「ゲームのし過ぎはテストの成績を悪くする」との証明にはならない。
しかしながら平日で1日4時間以上もゲームで遊んでいれば、その他の行動をする時間は圧迫されるのは必然的。それが睡眠の時間か、勉強の時間かまでは個々の事情によるが、いずれにせよ勉学にとってマイナスとなることは容易に想像ができる。
最終的には保護者の、あるいは保護者と子供との間の話し合いなどで決めることではあるが、平日における「ゲームで遊ぶ時間」については、考える必要があるのかもしれない。
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※全国学力・学習状況調査
2021年5月27日、国公立および私立の小中学校に対し悉皆調査方式(標本調査ではなく全体を調べる)で行われたもので、実施学校数は小学校が1万9280校、中学校が1万0316校。教科調査(学力テスト)は国語と算数(数学)が実施されている。なお2020年度は新型コロナウイルス流行により調査実施そのものが見送られている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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