知らないと危険!やけどのような炎症は「やけど虫」の仕業かも? やけど虫の特徴と対処法
「やけど虫」と呼ばれることが多い「アオバアリガタハネカクシ」に触れると、やけどのような症状を起こすことがあります。この虫は6~8月に多く見られます。今回はこのアオバアリガタハネカクシについて、気を付けなければならないことや対処法などをお話しします。
やけど虫はどんな虫?
体長は約7mmで細長く、イラストのように、頭部と末端部は黒色、胸部と腹部はオレンジ色、真ん中の翅(はね)の部分は藍色というかなり特徴がある外観をしています。
梅雨のころから増え始め、8月くらいまでは活発に活動しています。
日本全国に分布していて、国外ではアメリカ大陸をのぞく世界に広く分布しています。生息場所は主に田畑や河原、池や沼の周りの草地など湿ったところです。
人にどんな影響があるのか
人を刺したり噛んだりすることはありませんが、体が柔らかく、払いのけるだけで簡単に潰れます。潰れた際に出る体液に「ペデリン」という有毒物質が含まれていて、この物質が肌に付着するとミミズ腫れや水ぶくれのようなやけどに似た炎症(線状皮膚炎)を起こします。このことから「やけど虫」という別名で呼ばれるようになりました。
どんな時に遭遇するのか
夜間に灯火などに飛来する「走光性」という性質があるため、キャンプの際の照明や単車、自転車での夜間走行中のヘッドライトに飛んできて、顔や手など肌の露出部分に止まることで被害を受けることが多いようです。また、家の灯りにも飛んできて小さな隙間からでも室内に入ってしまうこともあります。
肌に触れるとどうなるのか
肌にやけど虫の体液が付いた後、炎症が出るのは虫に触れた数時間~半日後になるので、熱いものにも触れていないのにヒリヒリするようなやけどのような症状が出てびっくりすることがあります。やけど虫を払いのけた際は痛くないので、体液が手に付いていることに気付いてない場合も多いです。体液が付いた手で目をこすったりすると、結膜炎などの炎症を起こす場合もあります。ペデリンが目に入ると最悪の場合、失明する危険性もあるので注意が必要です。
やけど虫への対処法
家の中に侵入させないこと
やけど虫を家の中に侵入させないことが大切です。夜間に玄関灯や室内の光に寄ってきて、入ってしまうことがあるので、窓は閉めるか網戸にしましょう。また、玄関灯、家の外壁、網戸に虫を忌避させるスプレーをかけておくと侵入を防ぐことができるので効果的です。
もし、家の中で見かけたら
家の中で見つけても、人を攻撃してくることはありません。ただ、絶対に素手では触らないでください。害虫駆除用のスプレー剤があれば直接スプレーして駆除してください。死骸にも有毒な物質が残っているので、処分する際も素手では触らずティッシュペーパーなどでそっと包んで捨ててください。
野外に行くときは
この時期に田畑や池、河原などのやけど虫が生息しそうな場所へ外出する際は帽子をかぶり、長袖、長ズボンを着用して肌の露出をできるだけ少なくしましょう。やけど虫が身体に止まってきたとしても被害は少なくなります。
もしやけど虫が肌に止まってしまったら
やけど虫が肌を這っていたとしても慌てないでください。やけど虫の被害は、払いのける手で体液が肌にこすりつけられることから起こります。びっくりしても、一呼吸置いて冷静になり、息で吹き飛ばすか、タオルやハンカチなどを使ってそっと払いのけましょう。
体液が肌に付いてしまったら
体液が付いた肌は、流水で洗い流すことが重要です。放置しておくと、体液が他の部分にも付いてしまいます。やけど虫が止まった肌の周辺をしっかりと洗い流しておきましょう。数時間後、かゆみや痛みが生じた場合は早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
最後に…
これから夏にかけて、野外に行くことが多くなる季節となり、やけど虫に遭遇する可能性が高くなります。やけど虫に遭遇してしまった時は、もしも肌に止まったとしても、焦らず、慌てず、一呼吸おいてください。やけど虫は自ら人を刺したりして襲うことはありません。冷静に対処することで、肌の炎症被害を防ぐことができます。