テレビ視聴は食事時、特に夕食時は多い傾向
利用ハードルが低く映像情報まで取得できるため、多くの人に愛され重宝されているテレビ。日常生活ではどのような視聴スタイルがとられているのだろうか。NHK放送文化研究所か2016年2月に発表した2015年国民生活時間調査の報告書をもとに、平日、土曜、日曜それぞれにおける、国民全体のテレビ視聴動向を確認していく。
今件調査における「行為者」とは、指定された行動を実際に成した人のこと。「行為者率」は指定された時間に該当行動を15分以上した人が、属性対象人数に対しどれほどいたのか、その割合。また今件の時間区分は、表記されている時間「まで」を表している。例えば30分毎区分で「19時30分」とあれば、「19時から19時30分」となる。
なお「テレビ視聴」では「テレビに専念して見入る」だけでなく「他の事柄をしながらの『ながら視聴』」も含んでいる。そしてテレビ視聴そのものはテレビ器材(据え置き型テレビだけでなく、ワンセグによる視聴も含む。録画視聴や購入・レンタルソフトの視聴は除く)を用い、放送されている番組を観ること、実質的に回答者が「テレビを観ている」と自認できる行動を意味する。
テレビを観る人の割合(テレビ行為者率)は最新の調査でも8割強に達している。もっとも、今回データが公開された1995年の調査以降は少しずつだが減少する動きを見せている。
一方でテレビを良く観る高齢者そのものの増加や、その高齢者のテレビ視聴時間の増加により、全体としての(テレビ未行為者をゼロとした、各属性の全体平均による)テレビ視聴時間は、横ばい、一部では増加の動きすら見受けられる。もっとも直近2015年では平日と日曜で下げに転じたのが新しい動き。
それではテレビはどのような時間帯によく観られているのか。それを全員における平均行為者率の推移で見たのが次のグラフ。一挙に平日・土曜・日曜について挙げていく。比較がし易いよう、縦軸の仕切りはすべて統一する。
これらのグラフはそれぞれの時間区分で、テレビを観ている人が何％いるかを意味している。例えば平日の21時(20時30分～21時の30分間)ではテレビを観ている人は44％となる。
すべての曜日で共通しているのは、朝昼夜(夕)の3回ピークの存在と、夜のピークが一番大きな値を示していること。これは多くの人が食事の際、あるいは直後にテレビを視聴する生活様式で過ごしているからに他ならない。そして夜の時間帯がもっとも多いのは、朝食・昼食時は無理でも、夕食ならば家族一緒に食事を取り、その後テレビを観ることが容易なため。さらに朝や昼と異なり、比較的余裕が持てる時間帯でもあるのも大きな要因。
また、平日、土曜、日曜の順に、朝食から昼食、昼食から夕食時のテレビ視聴行為者率が大きく(順に10％未満、10％前後、15％近く)なるようすがうかがえる。休みの日は食事中や夕食後の団らん以外の時間帯でもテレビを点けっ放し状態にしている世帯が少なからずいることがうかがえる。
平日、土曜、日曜のテレビ視聴リズムを比較するため、これらのグラフを折れ線グラフ化し、一つにまとめたのが次の図。
まず改めて、朝昼夕食のピークがしっかりと把握できる。そして朝食時のピークが平日・土曜日・日曜の順に遅くなっており、休みの日は朝食も遅い時間なのが見て取れる。
さらに全般的には平日よりも土曜、土曜よりも日曜の方が観ている人が多いが、夕食を食べ、団らん時間の後はほぼ同率、むしろ日曜の方が平均行為者率は低下する。これは翌日からまた仕事の一週間が始まるのに備え、あるいは日中テレビを見続けていたことから疲れを覚え、早めに床に就く傾向が表れているのではないかと考えられる。
実際、睡眠行為者率動向を見ると、日曜は平日や土曜日と比べて早い時間に高い値を示す動きを見せている。要は日曜は平日や土曜と比べ、早めに寝る人が多い次第である。
テレビと食事が切っても切れない関係にあることや、いわゆるゴールデンタイム(19時～22時)の優位性などが、改めて認識できよう。
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