9年ぶり600円台回復…サラリーマンの昼食代事情
サラリーマンにとって「昼食代」は自分のこづかいの出費先、数少ない憩いの時間を創生する費用として、注目に値する金額。その現状を新生銀行による定点観測調査「サラリーマンのお小遣い調査」から確認していく。
物価がほぼ横ばいで推移する中、サラリーマンの昼食代は今世紀に入ってから減る一方。この数年間は500円台前半で横ばいをだった。しかしここ数年は景況感の回復、そして2014年に入ると消費税率の引き上げや円安基調に伴う物価の上昇を受け、トレンドも上向きに転じる形となっている。直近の2015年は数年来の上昇機運がさらに加速され、600円台を回復した。
この上昇には2014年4月の消費税率引き上げに伴う食品の値上げが影響するとの解説も見受けられるが、税率が5%から8%に引き上げられるのに伴い上昇する税込価格は単純計算でプラス2.86%。消費者物価指数において、食料部門に限って指数を比較すると2014年平均では103.4、2015年(直近公開値最新分の5月時点)は107.2のため、単純計算でもプラス3.68%。前年の541円に消費者物価指数を考慮した金額を算出すると561円となるため(541×1.0368)、やはり物価の上昇以上に昼食への重点投入が成されていることが分かる。
これを属性別に見たのが次のグラフ。
未既婚・子供のあるなし別で実情を確認すると、既婚で子供がおらず共働きをしている世帯に限り、既婚者の方が昼食代が高い結果が出ている。要は収支の上で余裕がありそうな世帯ほど、昼食代にも上乗せが期待できる次第。既婚者で子供が居るが、配偶者が専業主婦の場合は、平均昼食代金は544円となり、各属性別では一番低い金額に留まっている。
世代別では若年層ほど高く、歳を経るに連れて額が下がっている。過去の事例では大よそ年上ほど高額を示していたので、意外な感はある。もっとも今年は40代から50代で大きなこづかいの減額が起きているため、それを受けての昼食代節約の結果が数字となって表れた可能性は多分にある。
物価上昇なども一因だが、昼食代が上昇してきたことは、良い傾向に違いない。今後はさらなる増額を果たし、サラリーマンの昼食にもこれまで以上の選択肢をもたらし、彩りを添えてほしいものだ。
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