消費者物価指数(除く生鮮)は前年同月比プラス0.5%に
24日に11月の全国消費者物価指数が発表された。総合指数は前年同月比でプラス0.6%、日銀の物価目標となっている生鮮食品を除く総合指数は前年同月比でプラス0.5%、 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は前年同月比でマイナス0.6%となった。
原油価格などエネルギー価格の高騰が続き、灯油やガソリンなどのエネルギー品目が大きく値上がりし、生鮮食品を除く食料の上昇が全体を押し上げた。
ウクライナを巡る政治的緊張やノルドストリーム2の承認の遅れを理由に、ロシアが欧州へのガス供給を抑えているとの報道もあり、電力料金などにかかわる液化天然ガスの価格が欧州で最高値を更新した、
しかし、23日の取引で、欧州の天然ガス価格が20%余り下落するなど乱高下している。米国のガス会社が欧州への液化天然ガス供給を大規模に増加させたことが明らかになった。
エネルギー価格についてはこのように政治も絡んでくる恐れもある。しかし、経済の正常化に伴うエネルギー需要は、まだまだ伸びてくる可能性は否定できない。
原油価格については、ここにきてオミクロン株の感染拡大を巡る警戒感の後退を背景に回復基調となっている。
食料品については、来年に入り値上げラッシュともなり、さらに物価の押し上げ要因となりうるか。
ただし、「Go Toトラベルキャンペーン」による宿泊料の割引が影響して下落した反動部分が存在しており、その要因がなくなると、その分はテクニカル的な物価の押し下げ要因となる点にも注意したい。
反対に携帯電話料金の引き下げによる効果分も意識する必要がある。仮に今回、携帯電話料金の引き下げによる影響分を除くとコア指数で2%を超えてきた可能性もある。
これらはテクニカルなものであり、それらの影響は来年4月あたりからなくなることになる。その際に日銀の物価目標である消費者物価指数(除く生鮮食料品)の数字がどうなっているのか注目されよう。
まだまだ不透明要因が多く、決めつけるわけにはいかないものの、少なくとも1%台は回復するであろうとの見方となっている。しかし、今後の原油価格や円安動向など次第では2%が見えてくる可能性もありうるか。
2%が見えてきたからといって、日銀がそれで正常化に向けて動くというわけでもない。しかし、物価上昇の要因に日本と欧米の金利差による円安が影響するなどしてくると、日銀に対して正常化に向けた調整を促すような動きが出てくることも予想される。