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日本の特異性が光る…主要国のネットショップへの信頼度

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 箱はボロボロ、中身はぐちゃぐちゃ。このような状態で商品が届く経験をした人も…

3つの要素から見たオンラインショッピングの信頼度

現実の店舗での買い物のように実物を精査したり、その場で商品を即時に手に入れることはできないものの、多種多様な商品をどこからでも気軽に、他商品との比較もしながら注文可能なオンラインショッピング。このサービスの普及により、買物事情は確実に進歩発展を遂げている。

一方オンラインショッピングでは類似のサービス、例えばカタログ通販同様、実店舗での買い物以上にオンラインショッピングのサービスを提供するネットショップへの信頼度がカギとなる。いくら安くて珍しい商品を取り扱っていても、その店の対応がおざなりであったり正しい商品を送ってくれなければ、買い物をした意味が無くなる。また指定した時間を守らないことが常な場合、商品の中身が傷んでしまったり、要件を満たさなくなることも起きる。

次以降のグラフは、イギリス情報通信省が2013年12月12日付で公開した、諸外国における通信業界・メディア動向を分析した通信白書「International Communications Market Report 2013」を元に、主要国それぞれにおけるネットショップへの信頼度の違いをグラフ化したものである。

まずは「ネットショップは正しい商品を送ってくれるか」。オンラインショッピングでは実商品の買物以上に、箱を開けて中身を取り出す際のドキドキ感が嬉しいだけに、違うものが入っていたことが分かった時のショック、落胆はなおさら大きくなる。

↑ 「ネットショップは正しい商品を送ってくれる」(2013年9月)
↑ 「ネットショップは正しい商品を送ってくれる」(2013年9月)

イギリスやドイツは送付商品の正確性への信頼度が強く8割を超えている。否定派は5%程度。スペインやイタリアは不景気のためにオンラインによるネットショッピングそのものへの不信感もあり(「「配送料無料」は世界共通の願い…主要国別オンラインショッピングでの配送オプション需要をグラフ化してみる(ICMR2013版)」)、低めの値を示している。

日本はというと、否定派は6%と他国とあまり変わりないものの、肯定派は主要国中で最下位の64%。2/3を切る値に留まっている。「どちらとも」が29%と最大の値を示していることから、頻繁にではないものの、何度か注文品とは異なる物品の到着を経験した人が多数いることを予見させる。

続いて広告内容の真偽性。サイト上で展開している広告、商品の解説内容が実商品を的確に表現しているか否かを表す。

↑ 「ネットショップ上の商品に関する広告内容は正しい」(2013年9月)
↑ 「ネットショップ上の商品に関する広告内容は正しい」(2013年9月)

商品送付の正確性同様、イギリスとドイツはずば抜けて高い値を示しており、オンラインショッピングに対する利用客の絶大な信頼、そしてショップ側などもその信頼に応えた対応をしていることがうかがえる。他方イタリアやスペインはやはり低めで、しかもそこにフランスも加わっている。この3か国は非同意派が2ケタ台に達し、ショップ側の不健全な情報提供ぶりがうかがえる。

そして日本は、こちらもやはり主要国では最低の同意率。唯一過半数割れの48%。非同意派も9%と2ケタに近い値で、痛い経験をした人が多分にいるようだ。

最後は決済手段に対する信頼性。

↑ 「商品購入の際の支払いシステムは安全」」(2013年9月)
↑ 「商品購入の際の支払いシステムは安全」」(2013年9月)

決済手段ではドイツでさえも信頼派の値は5割台にとどまり、唯一イギリスが7割。そのイギリスでは非同意派も1割を切る値を示しており、決済手段への信頼性の厚さが見て取れる。

他国はアメリカやドイツ、オーストラリアがやや高め。不景気を理由に値が低いイタリアやスペインに加え、広告・情報面で不信感の強かったフランスも低い値。特にフランスは非同意派が29%と主要国中最大の値で、よほどトラブルが多発しているのではないかと疑ってしまう。

日本だが、他の項目同様、同意派の意見はもっとも少ない。3割を切り29%に留まっている。そして非同意派も26%とフランスに次ぐ高値。回答者自身が経験したのか、あるいは報道などでのトラブルを見聞きした上での判断なのか、日本では決済システムに対する信頼性は低いように見える。

日本のオンラインショッピングに関する特殊な心境

国毎の景気事情やインフラに対する信頼性、ネットショップ上での習慣や法体制の差異なども大きな要因ではあるが、イギリスやドイツではオンラインショッピングの運営にはそれなりに高い信頼を寄せているようだ。そしてイタリアやスペインのような不景気なゆえの信頼性の低さも理解はできる。

唯一イレギュラー的な動きを示したのが日本。今白書の他の複数項目で、日本のオンラインショッピングに対する物理的な不快感は低く(遅配がその分高めだが)、不快経験者も少ないなどの結果が出ている。

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↑ これまでオンラインショッピングでどのような不快な思いをしましたか(不快な経験者限定)(2013年9月)
↑ これまでオンラインショッピングでどのような不快な思いをしましたか(不快な経験者限定)(2013年9月)

にも関わらず「正しい商品を送ってくれるかどうか不安」「広告はいい加減、過剰表現的なものがある」「決済システムにも信頼を寄せきれない」といったように、主要国中では一番の不満や不信をかかえている。

文句を言いながら、頭に浮かべながら、対象者に向けて具体的な反発の意志を挙げることが少ない、日本独自の国民性が表れている可能性はある。あるいは逆に、ある程度整った、恵まれた環境下で日々過ごしていることに慣れ、ちょっとしたトラブルにも過敏に反応し、多分なネガティブの印象を覚えてしまうのかもしれない。

※一部グラフを正しいものに差し替えました。訂正しお詫び申し上げます。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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