入院患者数は約130万人、通院患者数は720万人強…現在の入院・通院患者数の動向詳細
人口構成の高齢化や医学技術の進歩に伴い、これまで以上に医療機関への注目が集まる昨今。最新の入院患者数や通院患者数の実情を厚生労働省の「患者調査」(2014年10月21日から23日のうち、病院毎に指定した1日(診療所は10月21日・22日・24日のうち指定した1日)において、各状況を確認したもの。歯科診療所は外来のみ。患者数は調査日当日の該当人数(抽出調査のため統計値は推計)、退院患者(の在院日数)は同年9月に退院した患者の平均値)の公開値から確認していく。
まず最初に示すのは、特定日の患者数。入院患者は約130万人、通院患者は720万人強。入院患者は当然病院が多分を占めているが、通院患者は一般診療所の方が多い。それぞれの医療施設の規模や役割を考えれば、当然の結果ではあるが、数字として具体的にその裏付けが確認できる。
この詳細を次以降に見ていく。まずは入院患者の年齢階層別。
きれいな形で歳を経るに連れて入院患者数は増えていく。年齢の仕切りは5歳単位なので、単なる人口数の比率以上に、高齢ほど入院機会が多くなることが分かる。特に60歳を超えた時点で一段階大きく増加を示すのは、老化による上昇の他に、退職した上での緊張感からの離脱や、退職後に時間が採れたことを受けて精密検査を受け、結果として入院による治療を行う事例などがあるのだろう。
ピークは80歳後半。それ以降は減少していくが、90歳以上に限定しても14万人強もの入院患者がいる。
入院と比べ通院の場合は利用ハードルが低いことに加え、歯科診療所の値も加わるため、入院患者と比べて数倍の値となる。また、病院よりも一般診療所の方が数は多い。役割分担がそれなりに行われている証拠でもある。
年齢階層別の数の動向を見ると、14歳までの年少児における通院患者数が意外に多い。大人として相応の体力を持つまでには医学の力によるサポートが欠かせないことの証でもある。15歳から19歳を底値として、それ以降は再び上昇し、60歳から65歳で1段階値が跳ねるのは、入院患者数動向と同じ。ただしピークは70歳から74歳で、入院患者数と比べるといくぶん若い。高齢となると通院そのものも難しくなり、病症の発生・発覚がそのまま入院に移行する事例が増えてくる結果ではある。
やや余談となるが、65歳以上、75歳以上にそれぞれ仕切り分けした上で、医療機関種類別の入院・通院患者数をカウントした結果が次のグラフ。
65歳以上に限定すれば94万人が、75歳以上でも67万人が入院中。そして351万人、190万人が通院中。今後この数はさらに増えることが予想される。医療機関のオーバーワークや、他世代への医療リソースの分配との兼ね合わせも合わせ、多様な対応が求められよう。
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