肉眼を超える広い景色を写せる超広角レンズ〜SIGMA 12-24mm F4 DG HSM〜
カメラのレンズは焦点距離によって描写は大きくことなります。
一般的に肉眼で見ているのに近い焦点距離は50mm前後と言われており、少し広い視野で見たときでも28mmくらい、逆にじっと被写体を注視したときでも85mmくらいでしょう(焦点距離はすべて35mm判換算)。個人差はあるでしょうが。
これらよりもより広角、または望遠になると、人の見ている風景から大きく離れた印象の写真に仕上がります。中でも、超広角レンズは目に見えている範囲以上のものを1枚の写真に写し込むことができ、目の前に広がる景色を雄大に表現することが可能です。
今回、試用することができたSIGMA 12-24mm F4 DG HSMは、ワイド端の12mmで122.0度、望遠端の24mmでも84.1度という広い範囲を写せるものです。一般的な広角ズームはワイド端が16mm程度のものが多く、それと比べても12mmというのは相当な広角であることがわかります。もちろん、24〜70mmくらいの焦点をカバーする標準ズームのワイド端とは比較にもならないレベルです。
レンズの開放F値はズーム全域でF4。いわゆるF4通しのレンズです。F2.8通しのズームというものもありますが、超広角ではそれほど大きなボケが欲しい場面もそれほど多くないなので、F4通しでも十分な明るさだと感じます。それよりも12mmという超・超広角の描写にワクワクするレンズなのです。
レンズを装着してみての感想ですが、まず第一印象は非常に大きくて重たいこと。重さはなんと1,150gです。
ただし、周辺部までくっきりの描写と高い逆光性能を考えれば、大きさと重さはいたしかたないと感じるところではあります。
とくに、超広角レンズでは太陽が画面内に入り込みやすいことを考えれば、逆光性能は重視したいところです。
ここは同社の高性能レンズの証となる「Artライン」に類されているだけに、性能に不満はありません。
中心部の解像力の高さだけでなく、周辺部まできっちりと描写されている点に好感が持てます。
また、超広角レンズは街スナップでも大活躍です。
街ゆく人やクルマなどを大きく取り入れたスナップが可能ですので、街の情景を1枚の写真に入れ込みやすいと感じます。
ただし、特定のものをピックアップしたい場合には、グッと近寄らないと被写体が小さくなってしまうという難しさもあります。
あと、手ぶれ補正機構は内蔵されていませんので、夜などの撮影では手ぶれにも注意したいところです。せっかくの高性能レンズも手ぶれしてしまっては、その性能を生かし切ることはできません。
肉眼で見ている以上に広く写せるのが超広角レンズの特徴。
ただし、一つ一つのものは思った以上に小さくなります。
ISO感度を1600まで上げて手ぶれに気をつけながら、電車のうごきをぶらしました。
電車を大きく入れながらもホームにいる人たちも一緒に写せるのがこういった超広角レンズのメリット。
目の前の地面にカメラを向けてもクルマやビルまでもが写る超広角。
向こうから歩いてくる人の動きを意識しながらシャッターを切りました。
画面上部のガラスの向こうに太陽が映り込んでいますが、ハレーションっぽくなることもなく、しっかりとしたコントラストが確保されています。さすが最新レンズという感じです。
以上のように、レンズ性能に不満はなく、超広角の驚くべき画角の広さを思う存分楽しめるレンズといえます。
ただし、前述の通り、大きくて重たいのが玉にきず。
あと、レンズフードは一体型となっており、ねじ込み式のフィルターは装着できません。風景写真などでPLフィルターを使いたいなどという場合にはちょっとここがネックになるかもしれませんね。私のスタイルではほとんどフィルターは使いませんので、まったく気にはならないのですが。
どちらにせよ、普段なにげなく見ている景色が、肉眼とはまったく異なる表現として写すことができる超広角レンズ。旅行スナップなどには欠かすことのできないレンズです。
ただし、広い景色を写そうというだけならとても簡単で重宝するレンズですが、遠近感を強調しながら思い通りの写真に仕上げるには使いこなしが必要です。
そういった意味でもとても使いでのあるレンズと言えそうです。
超広角レンズを使ったことない人はぜひカメラ販売店などに行って、そのワイド感を感じてみてください。きっとクセになりますよ。