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怒りっぽい人のせいで困っている人のために・怒りっぽいと言われて悩んでいる人のために

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
どこにでも、怒りっぽい人はいる(提供:efuroku/イメージマート)

■怒りっぽい人

どこにでも、怒りっぽい人はいます。すぐ怒る人。いつ怒るかわからない人。すぐ怖い顔になる人。すぐ大声で怒鳴る人。文句ばっかり言う人。困ったものです。

中には本当に極端に怒りっぽい人もいて、その客が来ると店員さんみんなが嫌がる客もいます。職場にいれば、社員みんなが迷惑します。

その人の怒りのせいで、気が弱い人は泣きたくなりますし、気が強い人は言い返したくなります。でも、ケンカになったりしたら、さらにやっかいです。

一方、自分はよく人から「怒りっぽい」と言われると感じている人もいます。つい、声が大きくなってしまう、きつい言い方をしてしまうと自覚している人もいます(自覚していない人もいますが)。

怒りっぽいことで、人生の中で何度も失敗している人もいます。

さて、どうすれば良いでしょうか。

■「俺は怒っていない!」

怒っている人に、「何怒ってるの?」「そんなに怒らなくても」と言うと、「俺は怒っていない!」と言う人もいますね。よくいます。

これは、本当に怒っていることを自覚していない時もあります。声が大きくなり、目が吊り上がっていることを自覚していない人もいるのです。

自分が興奮していると、自分の姿を客観的に見ることができなくなるのです。

あるいは、言動が荒くなっていることは自覚していても、「怒っている」ということを認めたくない人もいます。

「怒りっぽい」は、否定的な意味をもった悪口ですよね。「涙もろい」や「感動屋さん」は悪口ではありませんが。「泣き虫」は悪口としても使われますが、恋人が「泣き虫の君を守ってあげるよ」なんて言えば、悪口ではありません。

でも、「怒りっぽい人」は常に悪口でしょう。

怒っているのに「怒っていない」という人は、自分の大声やきつい物言いは、怒っているからではなく、正当な行為だと言いたいのです。正当なしつけ、正当な要求、その場に適した表現だと言いたいので、「怒っていない」と言いたいのです。

「感情的」も悪口に使われることが多いですよね。自分が興奮し、感情的になって怒っていると人から言われるのは嫌だし、自分でも認めたくないと思うと、「怒っていない」と言いたくもなるのでしょう。

あるいは、「怒っている」と自分で認めてしまうと、なぜ怒っているのかを説明しなくてはならなくなります。それが、面倒だ、悔しいと感じることもあります。

私の怒りは人として当然なのだから、周囲が察するべきであり、周囲が自発的に言動を改めるべきだと考えると、「怒っていない」と言いたくなるのです。

■怒りっぽい人は自分が怒りっぽいとは思っていない

怒りっぽい人は自分が怒りっぽいとは思っていません。むしろ自分は我慢していると思っています。自分が被害者だと思っている人もいます。

本人は自分は怒りっぽいとは思っていない。周囲は怒りっぽいと思っている。一体どちらが正解なのでしょうか。人は、自分のことは自分が一番よくわかると思っています。周囲は、自分のことをわかってくれないと感じます。

ところが周囲の人は、あの人は自分のことがわかっていないと言います。

さて、ここではどちらが正しいかは問わないでおきましょう。私はあなたが言う事を否定はしません。

周囲が怖がっているのも事実だし、当人が我慢しているのも事実だからです。

問題は、ではどうするかです。どうすれば、お互いに心をすり減らさずに、ハッピーになれるかが問題です。

■怒りっぽいと見られると

事実は置いておくとして、人から怒りっぽいと見られてしまうと、どうなるでしょうか。

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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