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【名古屋市】信長の怒りを買い離脱するも許され帰参。加賀100万石の祖・前田利家のトンデモ人生を歩く

ぽぶ・ばしおライター(名古屋市)

市営地下鉄の駅構内にあるパンフレットスタンドに、「ヒラメキさんぽ」のパンフレットが配置されている。「ヒラメキさんぽ」は、地下鉄駅から出発し簡単な問題を解きながら、歴史を感じる場所や魅力的なスポットを訪ね歩く月替わりの催しだ。なにかきっかけや動機がないと自宅を出てウォーキングしようという気にならない人も、ヒラメキさんぽのパンフレットを手にすればトライしてみようという衝動に突き動かされ、学びと運動にあふれた充実した1日を過ごすことができるだろう。

名古屋市営地下鉄公式サイトより
名古屋市営地下鉄公式サイトより

 2月は、戦国武将の前田利家がテーマだった。前田利家は「加賀100万石の祖」。石川県の金沢市をはじめとする北陸地方の繁栄を築き上げた。さぞや立派な人物かと思えば、若い時分の前田利家は派手な服装を好んで目立ちたがる傾奇者で、短気でケンカっぱやく行動はハチャメチャ。人心をつかみ将兵を手足のように操る信長でさえ利家の扱いには困るほどだったが、責任ある立場を任されるたびに利家は期待に応え一兵卒から城主、大名へと成長していく。その利家の生誕地は中川区荒子。今回のヒラメキさんぽは、若い頃の前田利家が過ごしたゆかりの地をめぐるコースだ。

〇高畑駅~前田利家公初陣之像

 スタート地点である東山線高畑駅からあおなみ線荒子駅まで、まずは準備運動がてら歩く。荒子駅で注目なのは、前田利家公初陣之像だ。天文21(1552)年に織田家の家督をめぐって織田信友と信長の間に起こった「萱津の戦い」が、信長に小姓として仕えた利家の初陣となる。槍を持って馬に乗り果敢に駆ける利家像のかたわらには、後に妻となるまつが声援を送る姿がある。

前田利家公初陣之像
前田利家公初陣之像

利家を見送るまつの像
利家を見送るまつの像

〇前田利家 荒子梅苑(荒子公園)~荒子観音寺~荒子城跡

 パンフレットの地図を見ながら南西へ進む。荒子公園内には梅苑があり、今回のコースを散策した2月当時は梅の花が咲き誇っていた。公園内で注目してほしいのは、富士山をかたどったすべり台。富士山のすべり台は、名古屋に特有らしい。散策している中で、意外な発見にも出くわす。

荒子公園の梅苑
荒子公園の梅苑

富士山のすべり台
富士山のすべり台

 次に進むのは荒子観音寺。笠寺、甚目寺、龍泉寺と合わせて尾張4観音を形成している。天平元(729)年創建で、天正4(1576)年に前田利家が再建した。天文5(1536)年に再建された多宝塔は、市内最古の木造建造物で国の重要文化財に指定されている。

荒子観音寺(左奥に見えるのが多宝塔)
荒子観音寺(左奥に見えるのが多宝塔)

 さらに荒子城へと進む。「前田利家卿誕生之遺址」の石碑が富士権現社の左側に立つ。利家が天正3(1575)年に越前へ移るまで居住した居館で、城の鎮守神として富士権現を勧請している。

「前田利家卿誕生之遺址」の石碑
「前田利家卿誕生之遺址」の石碑

〇宝珠院~利家ロード

 宝珠院については、「知恵を積み 徳をみがくの寺なれば この世をてらす 法のともしび」と、仏教の教えを和歌のかたちにして明解にした御詠歌が刻まれた石碑がある。御詠歌を唱和しながら西へ歩いていくと、「利家ロード」にたどり着く。利家の生涯をパネル形式で見せる散歩道となっている。絵が秀逸で、槍一本で大名にまでのし上がった利家の勢い盛んな姿を、風雲児として描いている。

御詠歌を刻んだ石碑
御詠歌を刻んだ石碑

利家ロードの「桶狭間の戦い」を紹介する案内表示
利家ロードの「桶狭間の戦い」を紹介する案内表示

〇龍潭寺(りゅうたんじ)~前田速念(そくねん)寺

 利家ロードから間もなくして龍潭寺に着く。明治年間に本堂を再建した折、須弥壇(しゅみだん)、来迎柱、来迎壁を再利用したと案内板にある。須弥壇が唐様のすぐれたもので貴重らしいが、今回は観ることができなかった。

 新前田橋を通って庄内川を渡り、前田速念寺へ。前田城があったとされ、利家をはじめとする前田氏発祥の地となっている。利家が寄贈した阿弥陀如来像を寺の本尊としており、現在の本堂の形状は、利家が愛用していた長い烏帽子状の鯰尾(なまずお)兜をイメージさせる。

前田速念寺の本堂
前田速念寺の本堂

 コースを踏破してみると、前田利家を身近に感じるとともに、利家が名古屋を代表する英雄だと改めて実感する。金沢や富山といった北陸地方の繁栄の礎を築いた前田利家を誇らしく思う。

※今回、歩いた「ヒラメキさんぽ」は、2月開催の「まつと共に過ごした荒子城界隈と前田利家ゆかりの地を巡るコース」です。3月は「『杉原千畝 人道の道』と鶴舞公園の春色を感じるコース」が開催されています。

 詳細は、名古屋市交通局のウォーキングイベント関連サイト(https://www.kotsu.city.nagoya.jp/jp/pc/ENJOY/TRP0004043.htm)へ。

ライター(名古屋市)

5年住んだ豊橋市から帰ってきました。名古屋市には、まだまだココホレ的なモノがある! みなさんと名古屋をココホレしていきたいな。 【実績】 テレビ愛知 「工場へ行こう」「わが社の星」「歴史のバイプレイヤー」など特集ニュース制作。 織田有楽斎 https://news.tv-aichi.co.jp/single.php?id=2929  スタッキングチェア https://news.tv-aichi.co.jp/single.php?id=2277  クリエイティブリンクナゴヤ 「オイスターズ インタビュー」https://creative-link-nagoya.jp/column/1781/

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