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日銀によるイールドカーブコントロール政策の再修正の可能性

久保田博幸金融アナリスト
(写真:イメージマート)

 日本銀行は30、31日に開く金融政策決定会合で、イールドカーブコントロール政策の再修正について、長期金利の動向などを直前まで見極めた上で必要性を判断する。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった(24日付ブルームバーグ)。

 これは観測記事とかではなく、「事情に詳しい複数の関係者」の再登場ともなり、日銀のいわゆる執行部からの意見とみて良いかと思う。

 日銀は24日に、臨時の国債買入をオファーした。タイミングとしては前日に米債が買われていたことで、売られたときに買い入れるという逆張りではなく、順張り型の臨時オペとなっていた。

 順張り型とは巧妙になってきたなと思っていたが、実はそうではなく、臨時オペを入れての市場の反応を窺っていた可能性がある。

 この臨時オペもあって24日の債券市場では買い戻しも入ったが、それほど大きく買われたわけではなかった。これも確認した上でのインタビュー記事となった可能性がある。

 25日の早朝にやはりブルームバーグが「日銀会合は8割弱が現状維持予想」との記事を出しており、大半のエコノミストが、10年国債利回りが上限の1%に近づきつつあることへの日銀の対応は想定していないことを示しているとあった。

 しかし、すでに長期金利は0.8%台を付けており、実際に1%を付けてくる可能性は十分にある。

 1%を付けた場合を想定すると日銀は指値オペで1%を死守せざるを得なくなり、再び10年債の発行額をすべて買いあげるといった状況になりかねない。

 それは量的緩和の強化とも映り、日米の金融政策の方向性の違いがさらに顕著となって円安の要因ともなる。

 長期金利の1%に特に意味があるものでもないし、そこで押さえつける必然性もない。しかし、官邸からは当面は金融政策の転換と受け止められる動きは避けるようにと釘を刺されており、YCCの撤廃には踏み込みたくはない。

 そうであれば、次回の会合で指値オペの水準を1.25%とか1.50%に引き上げるという可能性は実はかなり高いと予想する。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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