非常食には必要不可欠なミネラルウォーターやカップ麺の買われ方を大検証(2024年版)
1923年9月1日に発生した関東大震災を受け、9月は防災月間と定められている。災害に備えて用意されることが多い非常食の中でも、メジャーなのはミネラルウォーターやカップ麺だが、これらの購入は増加しているのだろうか、それとも減っているのだろうか。総務省統計局の家計調査の結果を基に確認する。
次に示すのはミネラルウォーターとカップ麺が個別品目として家計調査に採用された2005年以降における、総世帯(単身世帯と二人以上世帯の合計。要は全部の世帯)の世帯単位での年間支出金額。例えば2023年のカップ麺は4817円とあるので、1世帯あたり年間で平均4817円分のカップ麺を購入していることになる。
ミネラルウォーターもカップ麺もおおよそ右肩上がりで支出金額は増加している。減少する期間があっても、数年で再び増加に転じている。また、2011年にミネラルウォーターで特異な増加が生じているが、これは2011年3月の東日本大震災で生じた水不足・ミネラルウォーター特需に際し、単価が高い高級品を買わざるを得なくなったことから生じたものであることが推定される。
カップ麺に限れば2015年以降、支出金額の増加度合いは大きなものとなり、直近の2023年では4817円に達している。
これらの増加ぶりは、防災意識の高まりによる、非常食の備蓄をする人が増えたことによるものだろうか。それとも単に普段の食生活の中で使う機会が増えたからなのだろうか。または商品単価が上がったからだろうか。それを推し量れるのが次に示す、購入頻度。仮に備蓄非常食として購入する人が増えて支出金額が増加したのなら、購入頻度はあまり変わらない(備蓄非常食を頻繁に入れ替えることは想定し難い)。一方で普段の食生活の中で使う機会が増えたのなら、支出金額同様の動きを示すはずである。
実情としてはミネラルウォーターもカップ麺も、支出金額と同じような形で購入頻度を増やしており、備蓄非常食として買う人が増えたというよりは、普段の食生活の中で使う機会が増えたからと考えられる結果となっている。特にカップ麺の2015年以降における加速度的な増加ぶりは印象的。カップ麺の単価が上がったというよりは、購入する人が増えたのが主な動きなのだろう。
ただし2011年のミネラルウォーターに限れば、購入頻度の前年からの増加度合い(プラス20%)に比べ、支出金額の増加度合い(プラス36%)は非常に大きなものとなっている。やはり単に購入する人が増えただけでなく、世帯単位で多く買い求めたり、単価の高い高級品を購入した人がいたものと思われる。この時は備蓄非常食として購入する人が増えたのかもしれない。
また2021年以降のカップ麺では、購入頻度が横ばい、むしろ減少の動きを見せている。一方で支出金額は増加中であるのを併せて考えると、カップ麺の単価が上がった結果の動きと判断した方がよさそうだ。よく見るとミネラルウォーターも2021年以降は購入頻度がほぼ横ばい、むしろ減少しており、カップ麺同様に単価が上がった結果と解釈できるかもしれない。
ミネラルウォーターもカップ麺も、ある程度日持ちのする食品に違いない。普段の食生活の中で使う機会が増えたとしても、その特徴に変わりはない。まとめ買いをして、古いものから食べ、食べた分だけ新しく買い足すことで、実質的に備蓄非常食として使うこともできる。
あるいは普段の食生活の中で使う機会が増えたように見えるミネラルウォーターもカップ麺も、このような半ば備蓄非常食として使われているのかもしれない。
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