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全米オープンテニス:サービスは不発も快勝の大坂なおみ その訳は向上したフィジカルにあり!

内田暁フリーランスライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

女子シングルス1回戦 ○大坂 6-3, 6-2 ジーケモンド

「もちろん、勝ったことはうれしい。でも私は完璧主義者だから、自分のプレーには満足できていない」

 それが、全米オープン初戦を6-3、6-2で快勝した大坂の、会見での第一声です。

「サービスの確率が悪かったし、ミスも多かったし……」

 改善すべき点は、本人的には挙げればきりがないようでした。

 確かにこの日の大坂は、特に第1セットではサービスの入りが悪く、決めたエースもありません。それでも結果的に、クレー巧者のトリッキーな相手に快勝できたその訳は、コートカバー能力とフットワークにあったでしょう。とりわけ象徴的だったのは、第1セットの第4ゲームの局面。ジーケモンドが放ったドロップショットに、大坂は快足を飛ばして追いつくと、逆に自分のポイントにつなげます。このプレーにより相手は、大坂にドロップショットは通用しないと感じたのでしょう。以降のジーケモンドは攻撃が単調になり、対する大坂は、徐々にサービスの調子も上げ勝利まで走りきりました。

 明らかに向上した大坂のフットワークは、当然ながら日頃のトレーニングの賜物です。今年3月にコンディショニングトレーナーに就任したアブドゥル・シラーによれば、「食事も根本から見直した。体重をさらに落として、速く走れることを目指している」とのこと。「この全米にピークが来るよう調節してきた」という狙い通り、35度を超える猛暑の中でも、大坂のフィジカルは落ちることがありませんでした。

 ここ全米では2年連続で3回戦に進んでいる大坂ですが、当人にしてみればそれは「残念な結果」。

「何年も、『目標は準々決勝進出』とかでは悲しいじゃない?」

 そう記者に問い返す彼女が、目指すは、さらにその先です。

※テニス専門誌『スマッシュ』のFacebookより転載

フリーランスライター

編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーランスのライターに。ロサンゼルス在住時代に、テニスや総合格闘技、アメリカンフットボール等の取材を開始。2008年に帰国後はテニスを中心に取材し、テニス専門誌『スマッシュ』や、『スポーツナビ』『スポルティーバ』等のネット媒体に寄稿。その他、科学情報の取材/執筆も行う。近著に、錦織圭の幼少期から2015年全米OPまでの足跡をつづった『錦織圭 リターンゲーム:世界に挑む9387日の軌跡』(学研プラス)や、アスリートのパフォーマンスを神経科学(脳科学)の見地から分析する『勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること』(集英社)がある。

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