いよいよ週末終映「呪術廻戦0」:「無限列車」「シン・エヴァ」に続くラストラン告知の意味とは
昨年末より公開されてきた「劇場版 呪術廻戦 0」が、半年近いロングランを経て、いよいよ今週末5月29日に全国・全劇場一斉終映を迎えます。
通常、映画は映画館ごとに上映期間や終映日が異なってくるものですが、近年は本作をはじめ、劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編や「シン・エヴァンゲリオン劇場版」など、あらかじめラストランを告知し、ほぼ一斉に上映を終了する作品も見受けられるようになりました。
たとえ少ない上映館・上映回数となっても、上映が続くだけ興行成績は少なからず伸びていくはずですが、それらを度外視してでも、予告と共に一斉終映することには、一体どのような意味があると考えられるのでしょうか。
■ラストチャンスの周知
まず考えられるのは、映画館で鑑賞できるラストチャンスの周知です。
今回、この終映予告のニュースをみた人の中には『むしろまだ上映していたのか!』と、驚いた方も少なくないかと思います。
どんなヒット作でも徐々に上映回数は減っていきますので、各劇場の終映タイミングを小まめにチェックしていない限り、通常ですと、(特にそれがロングランであるほど)気づいたら上映が終わっていたということになりがちです。
対して、今回のように全国的な終映日を決めてそれを告知することは、話題なのは知っていたけど結局まだみていない人や、既に公開後のタイミングで1度以上鑑賞した人にも、劇場鑑賞のラストチャンスがあることを改めて教えてくれます。
確かに終映以降、興行成績の伸びはストップしますが、知らぬ間にフェードアウトするのではなく、告知のうえで一斉終映することには、『まだ映画館でみられるなら…』と、最後の最後に駆け込みでの鑑賞を人々に促す効果もありそうです。
■後夜祭的な盛り上がり
また、終映を告知することで、作品の大ヒットによる一連のムーブメントの締めくくりを見届けようと、一度落ち着きつつあった人々の熱が盛り返し、最後の最後に更なる盛り上がりをみせることもあります。
実際に、昨年の劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編や「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の終映や最終上映でも、かなりのロングランを経ていたにも関わらず、関連ニュースや再び劇場に足を運ぶ観客が頻繁にみ受けられ、終映を前に今一度の盛り上がりが生じていました。
自身もそのお祭りに参加していたからこそ、そのフィナーレを一緒に迎えたいということで生じるこうした改めての盛り上がりは、文化祭最後のキャンプファイヤーのようなものとなっているのかもしれません。
こうした終映前の改めての盛り上がり等は期待できるものの、それだけロングランであるといった前提も必要かと思いますので、どの作品でも同じことができるのかというと、それは難しいかと思います。
ですが近年のアニメ映画の盛り上がりや、そうした作品達の半年近いロングラン化、何度も劇場に足を運ぶファンの存在をみるに、今後もこうした興行方法がひとつのトレンドとなっていくことは十分に考えられそうです。