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航空各社、3日の羽田発着便は無料でキャンセル・変更可能な特別対応。JALは3月末まで全路線で特別対応

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
1月2日の20時50分頃の羽田空港第1ターミナル。欠航手続きに長い列(筆者撮影)

 1月2日に羽田空港のC滑走路上で新千歳空港発羽田行きのJAL516便(エアバスA350-900型機)と海上保安庁の航空機が衝突し、機体が炎上した事故が発生したが、羽田空港では事故現場となったC滑走路以外の3本の滑走路(A・B・D滑走路)を使って、2日の21時半頃から滑走路の運用を再開した。

消火作業を行っているJAL516便のエアバスA350-900型機(1月2日20時20分、筆者撮影)
消火作業を行っているJAL516便のエアバスA350-900型機(1月2日20時20分、筆者撮影)

3日も午前中を中心に、国内線各社の羽田空港発着便で欠航便相次ぐ。遅延も発生する見込み

 ただ国内線は、2日の20時前の段階で、国内線を運航する各社は、2日の羽田空港発着国内線全便の欠航を決め、ANAでは国内線で合計110便(影響旅客数約2万3700人)、JALでは国内線で116便(影響旅客数約1万9920人)が欠航した。

 国際線についても運休便が出ているが、夜遅くから深夜に出発する便では、大幅に遅延する形で出発している便が目立った。

JAL国内線全便欠航を知らせる案内版(1月2日20時45分頃、筆者撮影)
JAL国内線全便欠航を知らせる案内版(1月2日20時45分頃、筆者撮影)

ANA国内線が発着する第2ターミナルにも欠航手続きをする人の行列ができていた(1月2日20時頃、筆者撮影)
ANA国内線が発着する第2ターミナルにも欠航手続きをする人の行列ができていた(1月2日20時頃、筆者撮影)

国際線が発着する羽田空港第3ターミナルでは、多くの便が欠航ではなく大幅遅延での対応となった。搭乗手続きを一時中止していたチェックインカウンター(1月2日22時10分、筆者撮影)
国際線が発着する羽田空港第3ターミナルでは、多くの便が欠航ではなく大幅遅延での対応となった。搭乗手続きを一時中止していたチェックインカウンター(1月2日22時10分、筆者撮影)

事故の影響で羽田空港を出発できなかった便の荷物の返却が行われていた。年末年始ということもあり、大きな荷物が目立った(1月2日20時40分、羽田空港第1ターミナルにて筆者撮影)
事故の影響で羽田空港を出発できなかった便の荷物の返却が行われていた。年末年始ということもあり、大きな荷物が目立った(1月2日20時40分、羽田空港第1ターミナルにて筆者撮影)

 1月3日については、特に国内線で羽田に飛行機が戻せなかった便(引き返し便や成田・関空・中部などに目的地変更した便など)が多かったことで、午前中を中心に欠航便が発生する。

 ANAでは国内線54便(影響旅客数約11,000人)と国際線1便(影響旅客数約170人)が欠航、JALでは国内線44便(影響旅客数約7,700人)が欠航となる。

 また羽田空港の滑走路が3本での運用になることに加えて、出発準備に時間を要している便も多く、1月3日は朝から遅延している便が続出しており、遅延の状況は終日続く可能性が高い。

羽田空港では、欠航便の影響でターミナル内で夜を明かす乗客に対して航空会社のスタッフが毛布を無料で配布していた(1月2日23時50分、筆者撮影)
羽田空港では、欠航便の影響でターミナル内で夜を明かす乗客に対して航空会社のスタッフが毛布を無料で配布していた(1月2日23時50分、筆者撮影)

羽田空港第3ターミナルで国際線チェックインの再開を待つ訪日外国人観光客の姿も目立った(1月2日21時30分、筆者撮影)
羽田空港第3ターミナルで国際線チェックインの再開を待つ訪日外国人観光客の姿も目立った(1月2日21時30分、筆者撮影)

手数料なしでキャンセル・変更が可能な航空券の特別対応を各航空会社で実施

 今回の事故に伴い、既に購入済みの国内線航空券について特別対応が発表されている。特別対応とは、飛行機の運航に関わらず、天候や天災、事故などに伴って影響が出る場合に航空会社が設定した当該空港発着便において、無料でのキャンセル及び無料での便変更(原則は予約便から30日以内)が可能な対応となる。詳細は各社ホームページに掲載されている。

 国内線を運航する航空各社の特別対応については以下の通りとなっているが、JALグループ便については、3月31日までの国内線・国際線問わず全ての便で特別対応を実施することを発表している。


JALは3月31日までの全ての国内線・国際線で航空券の特別対応を実施、ANAなどでは1月3日の羽田空港発着便などで特別対応

■ANA

羽田空港発着便:1月3日の始発便から最終便までの全便

(以下は北陸での地震による特別対応)

能登空港発着便:1月2日の始発便から1月31日の最終便までの全便

小松空港発着便:1月2日の始発便から1月5日の最終便までの全便

富山空港発着便:1月2日の始発便から1月5日の最終便までの全便

新潟空港発着便:1月2日の始発便から1月5日の最終便までの全便

庄内空港発着便:1月2日の始発便から1月5日の最終便までの全便 

■JALグループ

国内線全便:3月31日までの全便

(国際線についても3月31日までの全便が特別対応に)

※1月31日までの手続きが必要

■スカイマーク

羽田空港発着便:1月3日の始発便から最終便までの全便

■AIRDO

午前8時時点で欠航便を除いて特別対応の発表なし。

(3日出発便の空港での空席待ちの受付を中止)

■ソラシドエア

羽田空港発着便:1月3日の始発便から最終便までの全便

■スターフライヤー

羽田空港発着便:1月3日の始発便から最終便までの全便

Uターンラッシュの影響で代替便の手配が翌日・以降になる場合も

 1月3日はUターンラッシュのピーク日になることで、欠航した便を予約していた人の振替便の手配が厳しい状況になっており、3日の便は事故前から満席便が目立っていたが、昨日の事故発生前の時点では空席があった4日の便もほとんどの便で満席になっている。代替便が5日以降になる場合もある。

 臨時便が設定される可能性もあり、最新の運航案内や空席の状況などは各航空会社のホームページより確認していただきたい。

 今回の事故に伴う欠航や遅延については、天候理由と同等の取り扱いとなっており、航空券の特別対応を実施する一方、宿泊代や交通費などの請求などは原則できないルールになっている(他の目的地に変更するダイバート便はルールは異なる)。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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