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インドの大学、ヤシの木に登ってココナッツを採取するロボット開発:3年で実用化へ

佐藤仁学術研究員・著述家
アムリータ・ビッシュワ・ビドゥヤピータム大学提供

 海外の多くの国ではココナッツはココヤシの木に人間が登ってもぎ取ることが多い。ココナッツは飲食用や繊維として多方面に活用されている。だが、最近ではココナッツを取る職人の数も減少している。そこでインドのタミルナードゥ州コインバトールにあるアムリータ・ビッシュワ・ビドゥヤピータム大学では、ヤシの木に登ってココナッツを取るロボットのプロトタイプを開発した。ロボットが木に登って15分でココナッツを採取する。同大学が公開した動画ではプロトタイプの開発シーンや木に登りココナッツを採取するシーンも紹介している。

アムリータ・ビッシュワ・ビドゥヤピータム大学提供
アムリータ・ビッシュワ・ビドゥヤピータム大学提供

 まだ実用化はされていないが、今後3年以内に開発して商用化していく予定。利用者は木の下でリモートでロボットをコントロールできる。フィールドテストも行われており、15メートルのヤシの木にまで登ることができた。

 従来人間が行っていた作業はロボットにとって代わられてきており、これからのココナッツ採取の方法も変わろうとしている。ココナッツを採取する職人が減少しているようだが、それでもインドでは地方に行くとココナッツ採取を代々職業にしている人もいる。いわゆるカーストの名残りである。ココナッツ採取ロボットが実用化されたら、ココナッツ採取を職業としていた人たちもロボットを活用するようになり、インドの農村社会と就業スタイルは変化するのだろうか。

▼アムリータ・ビッシュワ・ビドゥヤピータム大学ではココナッツ採取ロボットの開発シーンとデモ動画を公開

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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