中国からの「謎の種子」はハイビスカス、アサガオ、ラベンダーなど14種
[ロンドン発]中国から日本やイギリス、アメリカ各地に頼みもしていない植物の種子が国際郵便で送りつけられている問題で、謎の種子はハイビスカス、アサガオ、ラベンダーなど14種に及んでいると米紙ニューヨーク・タイムズが報じました。
キャベツ、ミント、マスタード、ローズ、ローズマリー、セージの種子も含まれていました。
これまでの報道や米農務省動植物検疫所によると、謎の種子は観賞用、果物と野菜、ハーブ、雑草の種子などで、アメリカの22州や日本、イギリスだけでなく、欧州連合(EU)やオーストラリア、カナダにも送りつけられていました。
今のところ農産物の生態系を破壊する「農業テロ」や「バイオテロ」ではなく、消費者に無料の商品を一方的に郵送して架空の売り上げを計上する一方で、インターネット上に勝手に良い評判を書き込むオンライン上の詐欺商法の手口とみられています。
過去数年間、種子を送りつける手口は米税関・国境警備局で確認されているそうです。
英環境・食糧・農村地域省は「バイオセキュリティーのチェックを逃れており、知らずに植えると潜在的な驚異になる」と注意を呼びかけています。
日本の農林水産省も「最近、注文をしていないのに海外から種子が郵便などで送られてくる事例があるようです」という注意をホームページに掲載しました。
農水省によると、植物防疫官による検査を受けなければ、種子などの植物は輸入ができません。輸入時の検査に合格した場合は、外装に合格のスタンプが押されます。もしスタンプのない植物が届いたら、そのままの状態で植物防疫所に相談するよう呼びかけています。
植物の病害虫が海外から侵入することを防ぐために各国では「輸入検査」や「輸出検査」が行われています。しかしアマゾンなどを通じて電子商取引が活発になっているため、目の届かない違法取引が増えています。
中国共産党の機関紙系の国際紙、環球時報(英語版)によると、中国外務省の報道官は定例記者会見で、中国郵政の送り状は偽造であり、調査のためアメリカに種子のパッケージを送り返すよう協力を求めていると説明しました。
報道官の説明では、種子は万国郵便連合(UPU)で輸出入が厳しく制限されており、中国郵政は規制に従っているそうです。パッケージの送り状は本物とはレイアウトや内容が異なっており、偽物と強調しました。
(おわり)